仮歌のアルバイトについて ネットで555エージェンシーという会社の仮歌のアルバイトを知ったのですが調べても安全かよ…

Question

仮歌のアルバイトについて

ネットで555エージェンシーという会社の仮歌のアルバイトを知ったのですが調べても安全かよくわかりません。実際に登録をしたことがある方に伺いたいのですが、どのぐらいの頻度で仕事ができますか。また、拘束時間はどれぐらいですみますか。

Answer 1

女性シンガーです。
仮歌請負歴は約8年、フリーランス作曲家からの依頼・音楽制作事務所にて下請け・登録制派遣アルバイト形式の経験があわせて250曲以上ございます。

ここから下は厳しいことばかり書きますので、ご気分を悪くされましたら申し訳ございません。
他者の質問への回答もよく拝見するのはぬるめなことしか書いておらず、参考となるご意見があまり見受けられなかったので、自身の実体験をもとにお仕事の話をさせていただきます。

先に結論を言ってしまいますと、拘束時間や頻度がどうこうという問題ではなく、残念ながら大半の人は何の実務にもありつけないのがこのアルバイトの実情です……。
別に怪しくはなく簡単に登録できてしまうため、簡単そう・楽しそうだといった印象から応募される方が多いようですが、普通のバイトのように次の日から即座に働けるわけではなくて間口はだいぶ狭いものとお考え下さい。

他社の登録制でもよくありますが、面接で本社へ出向かなければならない応募方法だった場合、はじめに派遣登録料と、たいていの場合サンプル音源製作をして頂くことになるので、レコーディング費用を自腹を切って支払います。
しかしこれでお仕事が成立するというわけではありませんのでご注意を！
後日より案件紹介のメールが沢山来るのですが、これまた応募制になっておりまして、募集人数は大抵1人のみですし競争率がかなり高い。
よほど目を引く(この場合は耳に残る？)歌声のサンプルが用意できなければクライアントから選ばれません。

そうならないために、あらかじめご自身で得意な歌もののジャンルを確立してから臨んだほうがよろしいかと存じます。
私の経験を例に挙げますが、仮歌の時は某坂道アイドル風の清楚系ポップスの歌唱に定評がありまして、過去案件のおよそ4分の1ぐらいが似た系統でのオファーで歌わせて頂いたものです。
たとえそれがあまり好みでない系統だとしても、絶対に強みになるとアピールできる声色を一つは磨いておきましょう。

やっと自分が選ばれた！…からと言って安心するのはまだ早いです。
次に拘束時間の話をしましょう。
耳でラフな音源を聞いてできるだけ早く形にできるかによって、収録にかかる時間が大きく左右されるため、案件メールに書いてある拘束時間は収録具合によっては大嘘になりますね！
私が今まで見てきた登録制の紹介案件だと2時間ぐらいを希望される案件が多かったですが、この収録時間だとおそらく事前に資料が送られて覚えるまでの時間が十分あったか、もしくはリテイクが少なく全パートをサッと録り終えられた場合の目安です。
まだ勝手がわからない初心者にとってはあまり参考にならないでしょう。

レンタルスタジオへ出向く案件が紹介されたときは時間が限られているため、文面通りの時間が厳守されるケースが多いですが、準備～片付け込みで時間内に退出しなければなりませんので、歌える時間は予定よりもちょっと短くなってしまいがちです。
納得のいくテイクが時間内に取れなければレンタルの延長料金でご迷惑をかけるだけでなく別日にリテイクで呼び出されたり、最悪ちがうシンガーに代わってしまい報酬が1銭も出ないなんてこともあり得ます。
過去に私もやらかしてしまった経験があります。

交通費込みで報酬〇〇〇〇円と書いてあることが多いですが、場所はまちまちですし、仮歌派遣の事務所では紹介マージンを取っている兼ね合いで、そもそもの報酬があまり多くはないです。
そのため、自宅から近くなければ全然割に合わず、応募を諦めてしまう案件が多くなるでしょう。

ありがたいことに最近はコロナ禍の影響か、非対面で済む「宅録」を希望されるクライアントが今まで以上に多くなってきました。
宅録は前述したスタジオのレンタル代や交通費を用意する必要がないのでシンガーの報酬が少し多くなりますし良さそうな案件に見えますが、先ほどのサンプル製作費以上に初期投資が必要となってきます。

スマホかパソコンに初めからついているマイクでは門前払いとなってしまう案件が多数あるため、自宅で録音するにあたり最低限オーディオインターフェースとマイクのふたつは揃えておく必要があります。
防音がしっかりしている良いマンションにお住まいならあまり必要ありませんが、そうでなければ環境音などのノイズが外からたくさん入りますので少々対策を講じる必要がありますよね。
ただでさえ全然はじめは儲からないというのに、お金をさらにかけることになりますから、コレは質問者様がもともと趣味で音楽をやっているという人でない限りはお勧めしづらいです……。

それでも挑戦してみたいと仰るのであれば、心から応援します！
普通にしゃべるだけでは気づかなかった自分の声の魅力を、沢山見つけることができるので、話し声のほうにも自信が絶対つきますよ。
ボイトレの延長と思ってやってみるのも良いでしょう。

いつか現場ですれ違うことがあれば幸いです。