先の方の回答は、師範学校から戦後の教員養成系学部に至る歴史の部分は概ね正しいのですが、2つの追加回答の内容が少々疑問に感じる点があるので回答します。 「教育学部以外のところでも教職課程を取れば教員免許が取得できる様にしている理由」は、戦前教育への反省が背景にあります。 戦前の師範学校による教員養成は、国家主義的・軍国主義的教育を推し進める教員を生み出し、日本が破滅的な侵略戦争へ向かう一因となりました。そうした過去への反省から、戦後「開放性の原則」のもと、広く一般的教養を身に着けた教員の養成が求められ、一般の大学においても教職課程を置くことで教員免許が取得できるようにしたものです。 なお、国立大学の教育学部(=教員養成系学部。旧帝大の教育学部ではない)においても中高の教員免許は取れますし、教育学部にも文学や歴史学や数学や英語学を専門とする教員がいます。つまり、教育学部では「取れる免許」の種類に応じて、それぞれの専門の教員がいます。教育学部で国語の教員になりたい学生が、文学の授業は全部文学部に受けに行く・・・なんてことはありません。
戦前は各地に師範学校(たとえば群馬県師範学校というように)というものがあり、小学校教員を養成していました。それが戦後、学芸大学、学芸学部と名を改め、さらに今から数十年前に教育大学、教育学部と名を改めました。(群馬県師範学校は、現在は群馬大学教育学部です。) 大阪学芸大学、北海道学芸大学なら、それぞれ、大阪教育大学、北海道教育大学というように改称したのです。(学部名も同様です。) つまり、これらの「教育学部」というのは小学校教員の養成を中心としたものです。 東京の場合だけ、まだ「東京学芸大学」という名称の大学が残っていますが、なぜかと言うと、かつて「東京教育大学」(現在の筑波大学の元になった)という名の大学がすでに存在していたためです。改称すると同じ名前になってしまい、区別がつかなくなってしまうので、改称せずに以前の名前を使っています。 他に、旧帝国大学系の大学にも「教育学部」というものがありますが(たとえば東京大学教育学部)、これは、上記の「教育学部」とはまったく別のもので、教員の養成を目的としたものではなく、学問としての「教育学」を扱っているため、そのような名前になっているだけです。そういう教育学部を出て一般の教員になる人はほとんどいません。 同じ「教育学部」という名称で、性格の異なる二種類の学部があるため、混同する人が多いです。 中等学校の教員については、戦前は、二つの「高等師範学校」というものがありました。東京高等師範学校と廣島高等師範学校です(どちらも文理科大学を併設)。これらは、戦後、東京教育大学、広島大学になりました。しかし、戦後になって、一般の学部でも、教科の専門に関する勉強をし、併せて教職課程の勉強をすれば、教員免許が取れるように制度が変更されたのです。 小学校の場合、戦後しばらくの間、児童の増加に学校や教員の数が間に合わず、免許がなくても希望者を小学校教員に採用し、仕事をさせながら、通信教育などで免許を取らせるというようなことは広く行われていました。
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