元・デザイナー/アートディレクターです。補助的にイラストも担当していました。 前提として,イラストとデザインの仕事は違います。紙面全体を絵と捉えるデザインにとっては,イラストはパーツでしかない場合がほとんどです。 イラストについては,かつての作家性は失われつつあり,デザイナーやアートディレクターの指示に従って,いろいろなタッチを使い分ける「手札」も必要です。フリーランスの方が多いです。 デザインにおいても,まず社内のチーフデザイナー→アートディレクター→クリエイティブディレクター→アカウントエグゼクティブ(企画営業)の納得をえた上で,さらにクライアント(依頼主・顧客)のイメージするものを超えたものであること,そしてあくまで広告効果のあるもの,場合によってはクライアントの好みに左右されることもあります。企画力・コンセプトメイキング力・ブランディング能力・プレゼン能力など,枚挙に暇がないほどの数々の能力も必要とされます。 しかしながら,両方できればアドバンテージとなることは確かです。 それでは,ご質問者さまの提示された「例」から述べたいと思います。 1)安定しているか 紙媒体が,インターネットや電子書籍などのデジタルメディアへと加速的にカタチを変えていますので,制作方法論が変わってきています。デザインも従来のグラフィック(英語で,graphic: adj. 印刷の- と云う意味です)から,Webなどのインターフェイスデザインが重視されるようになってきました。グラフィックへの興味をお持ちなのでしたら,「印刷媒体は斜陽産業」と,呼ばれているとおり,かなり厳しい世界であることは確かで,地方都市の大きな印刷会社も倒産してしまったことから,つまりその需要も激減していることは間違いないと思います。よって,安定性を求めるのは不可能に近いと思います。 2)どうすればなれるか,何が必要か(適正) 美術の才能と表現力は基礎でしかありません。「広告理論」も必要です。あとは,それらを礎にし,いかにしてアイディアを練りだすかと云う発想力が必須です。私も相当に苦労しました。実情,「基礎」と云うほどのモノしか得られませんが,美大デザイン科・デザイン学校に進むのが気休め程度ではないでしょうか。 3)給料 現場でしか学べないことは山のようにあり,アシスタントデザイナーとしてスタートすることがほとんどですから,給与はアルバイトに毛の生えた程度であることが多いです。平坦な道のりではありませんが,アートディレクターになれば,数十万円ほどに給与ははずみました(経験談)。 4)時間 人間的生活やプライベート,睡眠欲をも犠牲とすることを厭わないほどの覚悟が必要です。比較的大きな広告キャンペーンともなると,寝る時間などありません。また,紙媒体が少なくなっている現代ですから,それをビジネスとして成立させるためには,できるだけ数多くの案件(数十本を抱えることは覚悟してください)を,クオリティを維持させながらも短時間でこなすこと(併行して細かな画像処理などの「作業」も神経を使います)が求められます。 最後に,私としてはデザイナーと云う選択肢はおすすめしかねます。私自身,仕事中に倒れ,救急車のお世話になったことが何度もありますし,同業の知人で,過労死した方も何名かおります。
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