私は准看護師として有床診療所、看護師として個人病院と大学附属病院の病棟(共に一般病床)に勤務していました。 これまでの経験などを踏まえて質問者様の質問に答えていきたいと思います。 結論から言うと質問者様は「自分の看護師としてのキャリア形成やその基本となる看護観に基づいて行動することがベスト」だと私は思います。 私の場合を軽く紹介して、具体的な回答に入ります。 病院に入院している患者さんは、生命を維持したり、生活を再建するための検査や治療を受け、痛みなどの苦痛や日常生活の制限などの苦痛を伴い、それに耐えながら病棟で生活をしています。 看護師は、治療を受ける患者さんの身体面はもちろん精神・心理、社会的な側面にも目を向けて、患者さんと向き合い、医師が行う治療や処置の介助を行い、患者さんの身体面(治療や処置に伴うバイタルサインの変化や症状の変化など)を観察したり、必要時は医師に報告したりしますが、基本的に看護師は生活をしている人(人間)としての患者さんをみて、生活を支援する役割を担っていると私は理解しています。 私の看護の主眼は「生活者の支援としての看護」であり、クリティカルケア看護など自分がいる看護の場面で必要な点は最小限勉強しますが、基本的に興味がありません。この私の看護を実現するためには、まず病状に対応する看護や看護過程などを実際に用いて実際の患者さんで生活を支援するという経験を積みたかったので上記のような勤務経験を積みました。 そして、大学附属病院を退職後、特養での勤務に入ろうかと考えて、特老に行きましたが「ここは高齢者の終の棲家であり、若い人(看護師)が来るには早すぎる。もっと一般病床で経験を積み、看護師としてのキャリア形成を図ってから来ても遅くないのではないか?」と言われました。この特老には勤務せず、老人福祉施設に少しだけ勤務しましたが、そこでの看護では確かに急性期病棟での経験が活きて、病状の観察やバイタルサインの解釈など入所者の方の病状の観察や上司などへの報告、生活者としての入所者を理解する看護過程という意味では、私の一般病床での経験はプラスになったと思います。 私の看護師としてのキャリア形成とそれに関連する看護観の一部を紹介しました。 質問者様が言われている「経験も必要だと痛感をしました」は私が上記に示したような、一般病床での経験に基づく看護師としての病状の観察や判断、生活者としての入所者(患者さん)を看る経験が必要だと思われているようなので一応私の例を紹介しました。確かにその通りだと私は自分の経験から思います。しかし、質問者様が一般病床に行くことが果たして自分にとってベストな選択かは別問題として考える必要があると私には思えます。 早速次の質問に移ります。「経験の無い人間は一般病棟に行くべきでしょうか?しかし、一般病棟も自信がなく、精神科や、療養病棟を希望している自分がいます」について述べていきます。 仮に質問者様が一般病床に行くとしましょう。療養病床を1年、特老を半年~1年で退職し、一般病床に移動すると「履歴書汚し」的な感じで、一般病床に就職を希望しても面接官は「うちに来てもまたすぐ職場を変わるかも」的にみられ、一般病床である程度勤務できる適性があるかをみられ、「なぜうちの病院を希望したのですか?」「なぜ一般(急性期)病棟を希望するのですか?」という質問が面接で問われる可能性が高いです。その際に、私は職場を移動する際に、「一般病床は自分の看護の中では初期修練の場であり、長期勤務はありえない」とバカ正直には言いませんでしたが、その他の自分の看護観とその職場の関連を述べて、なぜその職場・一般病床を希望するのか明確に述べる準備をして、述べたつもりです。質問者様は、一般病床に行くならば、自分自身の看護師としてのキャリア形成と看護観・一般病床での自分の看護の目的・目標を明確にしていく必要があると私は思います。 また、仮に一般病床に勤務することができたとして、勤務を続けることができるか、質問者様が言う「経験も必要だと痛感をしました。やっぱり、経験の無い人間は一般病棟に行くべきでしょうか?」に対する答えを得ることができるのか? 実際に一般病床に勤務して、知識・経験などを蓄積することができるかということについても考慮する必要があると思います。 これについて質問者様は、「一般病棟も自信がなく、精神科や、療養病棟を希望している自分がいます」と述べています。 現在、総合病院・大学附属病院クラスの大病院は7対1看護を導入し、看護師の人数は以前より多い病棟もありますが、診療科におけるあらゆる患者への対応を求められ、知識や技術の更新、業務改善の会議、看護研究への参加など多忙です。さらに入院期間が長くなると診療報酬を減らす方向に診療報酬が改訂されているので、大学病院だけではなく、中規模の個人病院・独立病院機構が経営する病院でも看護師の業務は患者の入退院の激しさに加え、患者の安全要求の高さなど、小松秀樹医師が自身の著書で指摘しているように一般病床での勤務は苛酷だと私はとらえています。 この状態が事実であるならば、質問者様が言っている「一般病棟も自信がなく、…」という状態で一般病床に行ってもその勤務ハードさに加えその時間外の拘束などで早期退職が懸念されます。繰り返しになりますが、質問者様は自分が目指す看護などの看護観に加えて、「実際に一般病床に勤務して、知識・経験などを蓄積することができるか」について熟考し、一般病床への移動を検討すべきだと思います。 質問者様がこのまま特老に勤務し続けると仮定した場合、特老における経験をどのように蓄積させていくことが必要なのでしょうか? 質問者様は「特養の看護師は人数も少なく」と言われているので数人の先輩看護師がいると思います。その方から、指導を受け、質問者様なりに努力し、特老における看護の経験を蓄積させていけばよいと思います。 質問者様が言う「経験も必要だと痛感をしました」は先輩看護師に比べると入所者さんの身体面のアセスメント力が弱いという意味だと思われるので、その点について、質問者様が先輩などに相談すべき入所者の症状や病状などを学び、自分の業務力を向上させ、学生時代の教科書やフィジカルアセスメントの勉強をするなりして、自分の病状を観察する力を磨けばよいと思います(私はどこの職場でもそうしてきました)。そして、ここが特老での看護の基本になると思います(病院などでも同様でしょうが検査や処置がほとんどない分内容は異なるでしょう)。 すでに指摘されているように特老などの施設では病院などと異なり、病状や症状の変化に対応するための医師の指示をタイムリーに受けにくい状況にあるため、看護師が行う病状の判断が重要視され、入所者の体調管理という面では非常に重要な役割を担っていることはすでに質問者様は感じられていることと思います。 しかし、『入所者の日常的な健康管理は、原則としてあらかじめ決められた配置医師がその責任を負っている(伊藤政治・井部俊子監修:特別養護老人ホーム 看護実践ハンドブック 尊厳ある生活を支えるために、特別養護老人ホーム看護実践ハンドブック編集委員会、13項)』と述べられているように先輩から指導を受けて、必要なことを必要な時期に医師に報告するという判断ができるように先輩から指導を受けたり、自分で勉強したりすれば良いとも考えられると私は思います。 しかし、特老での看護の役割は「終の棲家」「生活の場」もあります(すでにご存じだと思いますが)。 上記の看護実践ガイドブックの26項を途中から引用します。 略…入所者の特性に応じて、食べることや飲むこと、排泄すること、身体を清潔にすることや身支度を整えること、呼吸すること、体温を調整することといった、生活に伴って発生するニーズ、すなわち生活ニーズや、さらに特別養護老人ホーム本来の位置づけを考慮すると、生活の質(QOL)の向上や、予防を中心とした、生活ニーズを優先した看護であることが重要であるといえる。 と述べている通り、生活ニーズを優先した看護も求められると思います。質問者様が疾患の理解とその対応はもちろん大切ですが、それに偏りがちになると、生活ニーズを優先した看護、終の棲家としての特老を考えた時の看取りにおける看護の役割が重要視されず、特老での基本的な看護から外れていく可能性もあります。 そうならないためには、質問者様が「自分の看護師としてのキャリア形成やその基本となる看護観に基づいて特老における自分の役割を認識」し行動することが求められるし、それができないとただ動けない、認知症を持っている人に看護師として病状を観察し、医師に報告し、必要な看護師としての処置を行うだけになってしまいます。生活者として、入所者への看護の支援を届け、可能ならば看取りを支援するなど看護の役割が十分に行えない可能性もあります。給料をもらうだけの仕事として考えるならばそれでも良いのでしょうが、質問者様は「経験も必要だと痛感」しておられるので、病状や症状への対応をもっとレベルアップさせ、入所者の方に看護師として貢献したいという気持ちがあるのでしょう。 繰り返しますが、「質問者様がしたい看護、質問者様が目指す看護の在り方を模索し、それから答えを出す」のが良いと私は思います。 以上、特老での勤務経験が無い私が語るのは生意気な気がしますが、他での業務経験などを踏まえて意見を言わせていただきました。参考になれば幸いです。
なるほど:1
施設関係は看護師の責任が大きいです。 看護師の判断が入所者様の命を左右します。 精神科は精神科という意味では勉強にはなりますが 精神薬の副作用からくる、消化器症状や呼吸症状が内科になりますので 内科が分からなければ、 こういった症状が出た時に対応ができなくなります。 質問者様が看護師として わからなくても、と思うのであればそのままでもいいのではないのでは? 内科と外科は基本だと思っています。 決めるのは質問者様です。
責任性の問題なのでしょう。 今のままの自分で、患者の状態に責任を果たすことができると考えるのであれば、今のままでよいのではないでしょうか。
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