通勤災害について

Question

通勤災害についてどなたか教えて下さい。

従業員が、出勤途中にお弁当を買う為に「コンビニ」に立ち寄った際、
自動ドア前（外）で雪で滑り転倒し、結果手首に「ヒビ」が入り
しばらくの間、勤務できなくなったのですが

①この場合、「通勤災害（労災）」になるのでしょうか？

②被災者とコンビニに行って実況見分を行ったのですが
本人の不注意は認めるのを前提として
コンビニ側には過失は、ないものでしょうか？

（「滑りますのでご注意下さい」の様な「注意喚起」の表示もありませんでした）

ご回答の程 宜しくお願いします。

Answer 1

この場合は、通勤災害になります。
通勤災害の見分けるポイントは、「勤務に必要な行動」か「私的な行動」かで判断をします。

通勤災害は、勤務中（昼休みなどの休憩中も含まれます）と通勤中に起きた事故や怪我について保障されるものです。
ただし勤務中・通勤中に私的な行動をし、事故に遭った場合は通勤災害に含まれません。
いわゆる帰宅時に飲みに行った・娘の幼稚園に迎えに行った・昼休みに友達とバッティングセンターで体を動かした、などは私的とみなされて、保障されません。
朝の通勤前やお昼休みにお弁当を購入するのでしたら、私的とはみなされないので、立派な通勤災害です。

Answer 2

コンビニのドア前であればコンビニの敷地内であり、通勤経路を逸脱している（そのコンビニの敷地内を通行しなければ会社に辿り着けないような特殊事情があれば別ですが・・・）時点なので、通勤災害には該当しません。

買物を終えてコンビニを出て公道上での転倒であれば、通常の経路に復帰した以降の被災として通勤災害になります。

利用者が通路上に雪があると認識できていれば、当然滑り易いと判断（予見可能性があった）できるので、あえてコンビニが注意喚起する必要性はないものと思われるので、店側の責任を問うのは難しいと思います。

Answer 3

今回の場合、労災保険の通勤災害には該当しません。

通勤災害として認定されない場合の１つに、「逸脱、中断」があります。これについて、下記の３点に分けて申し上げます。

①会社帰りに長時間飲みに行って帰る場合
飲みに行った時点で、通勤は終了です。飲んだ帰りについても、通勤ではなく「飲みに行った帰り」と見なされます。一旦自宅に帰ってから飲みに行った場合と同じです。

②コンビニやスーパーに寄って短時間買い物をして帰るような場合
①と同じ逸脱、中断ではありますが、スーパーの帰りについては、一定の範囲で再び通勤として認められます。具体的には、会社から自宅までまっすぐ帰る経路を合理的な経路として、スーパーの行き帰りに合理的な経路を逸れた間は私的行為ですので通勤にはなりませんが、逸れるまでの間および合理的な経路に復した後は再び通勤と見なされます。

③駅のトイレに寄った場合、自販機でジュースを買った場合など
「ささいな行為」として、逸脱、中断に該当しません。（駅のトイレでこけても通勤災害になります。）

今回のけがについては③の「ささいな行為」には該当せず、②に該当しますがコンビニの自動ドアということは完全な逸脱ですので、通勤災害にはなりません。（最終的に判断するのは労働基準監督署ですが、間違いなく即答で「該当しない」と言われます。）

次にコンビニの過失についてですが、おそらく難しいと思います。（質問者の方もうすうす感じておられるのではないかと思いますが。）雪が降るのは自然現象であり、例えば「国道が雪で車が滑って事故を起こした」という話を国にしても、補償はされないですよね。残念ながら、従業員の方の完全な不注意に寄るものですし、同様にコンビニに対して補償を求めることはできないですよね。

１つ目の質問に対しては、下記のＱ５４を参考にしてください。
http://www.rousai-ric.or.jp/faq/03.html#54
（なお、「ささいな行為」とは駅の売店でタバコや新聞を購入するような場合で、コンビニに寄っての弁当の購入はあくまで「日常生活上必要な行為」に当たるものです。）

Answer 4

①この場合、「通勤災害（労災）」になるのでしょうか？

→会社、自宅、コンビニの位置関係にもよりますが、一般的には労災と認められると思います。

②被災者とコンビニに行って実況見分を行ったのですが本人の不注意は認めるのを前提としてコンビニ側には過失は、ないものでしょうか？

→最終的には民事の判断になりますが、一般的には難しいと思います。ただし、明らかに過失がある場合には店側の責任が認められたケース（札幌地方裁判所平成１１年１１月１７日判決 判例時報１７０７号１５０頁）もありますので参考にして下さい。