解決済み
【民法(詐害行為取消権)について】 最判37.10.9によると、「債権者が金銭の返還を受けた場合、取り消し債権者はその金銭を他の債権者に分配する義務を負わない」としている一方、425条により、「債権者は自己の債権について、詐害行為として取り消したとしても、受益者から取り戻した財産から他の債権者に優先して弁済を受けることができない」とされています。 上述の判例のいう「他の債務者に分配する義務を負わない」が優先弁済権のように聞こえ、下の425条と矛盾していると感じてしまいます。 どのような見方が正しいのでしょうか?教えてください。
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判例は、優先弁済権はないから、本来は当該金銭により債権者が平等の割合で弁済を受けうるものであるものの、これは平等弁済がなされるべき手続きにおいて実現されるだけであると言っています。例えば、不動産を強制競売して売却代金を配当する場合には、配当は実体法上の優先権を考慮して行いますから、「平等弁済がなされるべき手続き」です。しかし、一人の債権者が詐害行為取消により返還を受けた場合において、その後平等弁済がなされるべき手続きは法律上準備されていません。この場合に、当該債権者がわざわざ債権者全員の債権を調査し、按分比率を出して、平等弁済を実現させるといったことを強いられる理由も何一つありません。また、たまたま分配金支払いを求める権利があると主張して請求してきた債権者に支払うことは、判例のいうような平等弁済ではなく、当該債権者に対して分配金を払う義務を根拠づける理屈も何もありません。 この判例を理解する上では、「他の債務者に分配する義務を負わない」ということが、法律上ごく当然であるということがむしろ出発地点でしょう。もしそのような義務を負わせたいのなら、最初から、破産における管財人や競売における執行裁判所のような立場として規定を準備すべきです。それは立法論であり、現行法の解釈としては到底受け入れられないことだ、というのを確認してから、その先に進むべきでしょう。 論理的には、「請求債権者への引き渡しを求めることができるか」の論点と、「請求債権者は支払いを得た金銭を債務者に支払うべき義務があるところ、これを自己の債務者に対する債権と相殺できるか」の論点の処理が、優先弁済に近い効力をもたらしているわけです。これらの論点とは違い、この判例の理解においてはそれほど悩む必要はないかと思います。
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