まァ正解を言ってしまえば、むか~し、むかし、 手塚治虫 という、それは偉い偉い漫画家がおりまして、 この人、漫画の世界で王者になることでは飽き足らずに、 アニメの世界にまで進出して来たんですね。 で、この人、アニメを放送するテレビ局が申し出た予算を はるかに下回る金額で作品の受注をしてしまったのです。 その理由は、 「こうすれば、後続の人間をアニメの世界から締め出せる」 と、そう思ったからなんです。 漫画はともかく、アニメの世界ではライバルをつくりたく なかったんですね。 で、自分から製作費をダンピングした。 手塚治虫が主宰した虫プロというスタジオは、 まァ当時は、売れない漫画家の巣窟みたいなところで、 その売れない漫画家が、アルバイトで仕方なく アニメーターをやっていたわけです。 かつては声優の世界が、売れない役者の巣窟だったのと 同じような場所だったんです。 そこへ持って来て、かの手塚治虫大先生でさえ、 ~円で受注してくれたんだから、 と、悪しき前例をつくってしまい、それが現在でも 現場の貧困を生み出している、真の理由なのです。 これは、宮崎駿も、はっきり証言している、 間違いのない真実です。 まァ儲かっているのは、博報堂とか、 制作に直接タッチしないで、伝票の計算をしているような 連中です。 もしもアニメーターが、普通の社会意識をもった 労働者なら、春闘くらいはやるのでしょうが、 待遇改善を求めて、そうしたアクションを起こす 人間を、僕は見たことがありません。 前に、知り合いの監督に、これは何とか しなきゃ仕方がないんじゃないかと、 真面目に話したことがあるんですけどね。 「え~だけどよォ、現状こうなんだから、 仕方ないじゃん」 と、素っ気ないものでしたよ。 まァ、その本人は、ヒット作にも恵まれて、 何億も稼いだ人だから、いいんでしょうけどね。 で、こうした状況に拍車をかけたのが、 プラザ合意以降の円高ドル安で、 現場の仕事のかなりの部分は、今、韓国とか 他のアジア諸国に流れています。 最近のアニメでは、金~とか、外国人名が かなり出るようになったでしょう? スタジオにも、海を渡って来た連中が いますよ。 で、会社の社長に、アパートを借りる際の 身元引受人になってくれなんて、 涼しい顔をして言うもんだから、 社長が怒るのなんのって…… まァ、今のやり方をつづけている以上、 現場にはお金は落ちて来ないでしょうね。 宮崎駿がそれを嘆いて、アニメーターの 待遇改善にと、ジブリは固定給になっていますけれど、 そんな会社はごく一握りで、 かつて僕が在籍していた会社は、国内のアニメでは 経営が成り立たないので、 アメリカの……アンブリンとかの下請けを 主にやっていました(これでけで、会社名が 分かるかも?)。 やはりジブリと同じで、固定給のシステムを とっていましたが、大卒で税込み10万円。 ジブリはもう少しいいかも知れませんが、 それでも二十万を超えることはないでしょう。 京都アニメーションは、これまで通りの、 固定給なしの、完全出来高制のようです。 女子比率の高い職場だと聞きましたが、 女性のアニメーターは、作画の仕事で 生活していません。 親元から会社へ通い、衣食住は 親もちです。 で、会社からもらったお金は、 漫画とか好きなアニメ作品の ブルーレイやDVDボックスの 購入に消えている。 もしかしたら、現場の人間こそが、 この業界における、最大の被害者かも 知れません。 まァホントに半場みたいなところですよ。 いや、お金がしっかり稼げる分、 半場のほうがいいか。 だから僕のいた会社では、 必要な技術を身につけると、 アニメーターは、さっさとフリーランスになってしまいます。 美容師なんかと同じで、 技術力さえあれば、どこへ行ったって 食べていけますから。 カラーでもジブリでも、好きなところの 作品の受注を自分で受けてしまえば、 中間搾取はされませんからね。 そんなこともあって、今現在、 アニメ会社は新人の養成にあまり 熱が入っておりません。 せっかく手間暇かけて育てても、 育て終えた途端に、独立されたのでは 堪ったものではありませんから。 それで、そういう新人の育成は、 代々木アニメーション学院みたいなところに 任せて、そこで育って来た人材を 即戦力で使う、 そんなシステムになっています。 まァ、そういうわけなんで、売上分散とか、 そういうことは、現場のアニメーターには、 一切関係ありません。 でも、だからといって、それじゃ お金の代わりに、精神的な満足感が 得られるかといえば、これもまた微妙なところで…… サンライズとか、ちょっと大きなアニメ会社へ 行きますとね、 大抵、社内に専用の試写室があるんです。 これはまァ、自社が元請けになった場合、 つまり完成したフィルムの初号を観られる 時だけですが、暗闇の中からね、 時々、 「えっ、あたしがやったの、これだけ?」 なんて言葉が聞こえて来るんです。 テレビアニメではなく、劇場用作品を 試写した時なんかが特にそうですね。 劇場用ですから、手間暇がかかっているんですが、 その分、アニメーター一人一人が手がける範囲は 狭まります。 かつては30分のテレビアニメを一人の 原画家がすべて描いてしまうなんてことも あったのですが、 劇場用作品の場合は、それは不可能で、 普段は原画を描いているスタッフが動画に回る、 なんてことは、ごく当たり前です。 フィルムは一秒が24枚の絵で構成されますが、 テレビアニメなら、せいぜいが7,8枚の動画しかありません。 それが劇場用になると、フル……つまり 24枚、別々な絵でつながっているなんてことも 珍しくないわけです。 ディズニーとかのアニメを観ると、 何だか、ぬるぬるした動きで、 日本のアニメと全然違うな、と感じることが あると思うんですが、あれがフル・アニメーションです。 日本の場合は、たとえ劇場用でも、そこまでの 枚数は使いませんが、その分、ワンカットワンカットの レイアウトの緻密さが高くなったり、 動きに関しても、要求するレベルが違って来たりします。 まァ、ちょっと脱線してしまいましたが、 そんなわけで賃上げを求めて、日本全国の アニメーターがストライキでもやらないかぎりは、 質問者様の考えているような現場の貧困は、 残念ながら、解消されないでしょうね(溜息)。
なるほど:2
ここで真面目に回答したところで うそつきが違う理由を言い出して そこに腐向け作って欲しい腐女子が乗っかかって その嘘のほうが拡散されるだけだから
なるほど:1
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