将来PAｴﾝｼﾞﾆｱやﾚｺｰﾃﾞｨﾝｸﾞｴﾝｼﾞﾆｱとしてﾎﾟﾆｰｷｬﾆｵﾝなどの大手の会社に就職したいと思っています。…

Question

将来PAｴﾝｼﾞﾆｱやﾚｺｰﾃﾞｨﾝｸﾞｴﾝｼﾞﾆｱとしてﾎﾟﾆｰｷｬﾆｵﾝなどの大手の会社に就職したいと思っています。大学と専門どちらがいいのでしょうか？
大学だと尚美学園大学、専門だと尚美ﾒﾃﾞｨｱｱｰﾂ、TSMを考えています。

Answer 1

大手レコード会社のレコーディングもしくはPAエンジニアを目指したいとのこと。

結論を申し上げますと、
①通常、レコード会社にはPA部門はありません。PAはライブやコンサートの音響技術職であり、CD等の音楽商品の制作とは関係ありません。
②メジャーレコード会社でレコーディング部門を組織として所有する会社はほとんどありません。しかも大抵はグループ子会社として存在します。
③音楽系エンジニア職の就職試験(面接含む)では学歴はほとんど問われません。大学・専門・短大のどれでも良いかと思います。

ここでは、あなたが高校３年生であると仮定して説明させていただきます。
ちなみに私はレコーディングスタジオで働くレコーディングエンジニアです。ここ数年は新人採用の面接官もしています。

では、まずはともあれスタジオで働くエンジニア職の特徴を挙げてみましょう

●横文字のカッコ良さそうな職業ですが、実際はそれほど華やかではありません。正に「裏方」です。
●給与収入は多いほうではありません。お金目当てなら目指さない方が良いでしょう。
●職種に対する自分の適性は仕事現場での忍耐や努力で培われるものです。３年は我慢して辞めないことです。
●人付き合いが下手で苦手だとしたら克服する努力は必須です。
●就職後2~3年程、最も必要とされるのは学術的知識ではなく、ズバリ『コミュニケーション能力』。
●容易にキレてしまう人は絶対的に向かないでしょう。自分以外の人に「合わせる」能力は必須です。言わば『胆力』。
●何らかの楽器演奏経験がある場合、話題的にも感覚・感性的にも将来必ずどこかで役に立ちます。
●休日は不定です。カレンダー通りに休日をもらうことはほとんど無理だと考えてください。
●不眠不休となることが十分に考えられます。睡眠時間が極端に少ないことは多々あります。

では、レコーディングスタジオの新人採用活動について説明してみます。
基本は履歴書による書類選考と面接です。大手スタジオでは筆記試験も行う場合があります。

≪肝になるのは面接≫

面接官は、私のような現場面接官(レコーディングエンジニア)や録音部門の管理職の他、人事部門も行い、１次・２次と複数回の場合もあります。
履歴書に記入していただく在学中の学校名や学部名等は面接官にとって参考程度の情報でしかないことが多いと思います。
面接を受けるときに大事なのは、猫を被らず普段の自分が出すことです。以下に現場面接官に好まれる学生さんの条件を挙げておきます。

●明るくハキハキとしている人は好まれます。表情も同様です。暗い性格ではダメ。挨拶が出来ない人はもっとダメ。
●一般常識に関して、知識･言動両方で備えていることが求められます。「業界人」である前に一般の社会人です。
●当たり前ですが音楽が好きであること。また目指す職種に関して未経験ながら自分なりの見解を持っている。
●「自分は個性的な人間だ」と変にアピールしないことです。本当は普通の平凡な学生であることがバレバレです。

≪筆記試験≫

大手のスタジオは音楽ソフト制作会社の一部門なので、会社としての筆記試験がある場合があります。
筆記試験は専門分野(音響)問題の他に、全職種共通の一般適性検査(試験)を課すスタジオもあるようです。

≪今現在から進学先を卒業するまでに、あなたが心に留めておくべきこと≫

●就職後の実際の業務に関しては就職してから現場で覚えていくものです。今から予習しても無駄です。
今あなたは「生徒」であり進学しても「学生」なのですから、当前ですが最も重要なのは学業そのものです。
●そして、音楽業界を目指す学生さんが軽視しがちな点。それは一般社会人としての『常識』。
教養、言動、行動の常識に欠ける者は自ら職種生命を短くしてしまうでしょう。
●人同士のコミュニケーションを大事に過ごしてください。自分の殻に閉じこもってしまうような若者は音楽業界に決して向きません。

最後に・・・。

今あなたは高校生です。今3年生なのであれば来春には進学していることでしょう。
進学を目指すあなたは、今から就職するまでの期間の数年間、まだ生徒もしくは学生として学業を修める身であるわけです。
ですからまずは入試対策に専念しましょう。そして専門学校もしくは大学に入学できたなら、在学中は学業に専念しましょう。
よく「早いうちから業界に潜り込んでアルバイト」を勧める回答アドバイスを見かけますが、私はそうは思いません。
大学だって専門学校だって、年間に何十万円、学部によっては数百万円という莫大な金額を御両親が捻出している場合がほとんどです。
この数十・数百万円と言うお金は大変な額です。親は大変な思いをしてこの大金を用意するのです。
これを無駄にするような学生さんを会社（大手であればより一層)が好んで採用すると思いますか？
何事も中途半端はよくありませんから、大学もしくは専門学校を卒業するまでは学業に専念することを強くお勧めします。