海事代理士試験 船員法の問題です。

Question

海事代理士試験 船員法の問題です。「船員が負傷又は疾病により職務に堪えないため、船舶所有者が雇入契約を解除した場合、 船舶所有者は当該船員に１か月分の給料と同額の雇止手当を支払わなければならない」

正誤は×でした。

４６条参照となっていますが、何度読んでも正解に思えます。どこが間違っているのか教えてください。

Answer 1

>４６条参照となっていますが、何度読んでも正解に思えます。
>どこが間違っているのか教えてください。

船員法46条を丁寧に読めば答えがわかります。

（雇止手当）
第四十六条 船舶所有者（第四号の場合には旧所有者）は、左の各号の一に該当する場合には、遅滞なく、船員に一箇月分の給料の額と同額の雇止手当を支払わなければならない。
一 第四十条第六号の規定により船舶所有者が雇入契約を解除したとき。
二 第四十一条第一項第一号又は第二号の規定により船員が雇入契約を解除したとき。
三 第四十二条の規定により船舶所有者が雇入契約を解除したとき。
四 第四十三条第一項の規定により雇入契約が終了したとき。
五 船員が第八十三条の健康証明書を受けることができないため雇入契約が解除されたとき。

法46条によれば、船舶所有者は当該船員に１か月分の給料と同額の雇止手当を支払わなければならない場合は、1号から5号に該当する場合に限られます。

ところで、設問記述にある「船員が負傷又は疾病により職務に堪えないため、船舶所有者が雇入契約を解除した場合」というのは、法40条5号に規定されています。
↓
(雇入契約の解除）
第四十条 船舶所有者は、左の各号の一に該当する場合には、雇入契約を解除することができる。
一から四 略
五 船員が負傷又は疾病のため職務に堪えないとき。
六 前各号の場合を除いて、やむを得ない事由のあるとき。
↓
しかし、法40条5号による解除は、46条の1～5号の中のどれにも該当しません。46条1号がきわどいですが、1号に該当するのは「40条6号による解除」ですから、5号による解除ではありませんね。

そうすると、46条の1～5号のいずれにも該当しない「船員が負傷又は疾病のため職務に堪えない」ことを理由とした解除では、船舶所有者に、1か月分の給料と同額の雇止手当を支払う義務は生じません。なので、設問記述は×になります。