解決済み
物権変動の対抗要件について 宅建の問題でつぎのような問がありました。 「A所有の甲土地の物権変動に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば誤っているものはどれか。なお背信的悪意者については考慮しないものとする」 当該問の選択肢2つについて疑問がございます。どなたか解説頂けますと幸いです。 (〇)1.甲土地がFとGに共同相続され、FとGが持分各2分の1の共有相続登記をした後、遺産分割協議によりFが単独所有権を取得した場合、その後にGが登記上の持分2分の1を第三者Hに譲渡し、所有権移転登記をしたときは、Fは、登記なしに、甲土地の単独所有権をHに主張することができない (×)2.甲土地がIとJに共同相続されたが、遺産分割協議前にJが相続を放棄したにも関わらず、Jが単独で所有権を相続取得した旨の登記をした後、Kに対して甲土地を売却し、Kが所有権移転登記を備えた場合、Iは、登記なしに、Jの相続放棄による甲土地のJの持分権の取得をKに主張できない。 解説では1.について「遺産分割によって権利を取得した共同相続人は、登記なくして遺産分割後の第三者に対抗できない」と書かれており、2.に関しては「相続放棄をした者は無権利者のため、譲り受けた者も無権利である」と記述されていました。 □質問の本題 どちらの解説も納得できるのですが、改めて選択肢1を確認すると、Fが単独所有権を取得しているにも関わらずGが第三者Hに譲渡しているならば、GもHも無権利者のため、Fは登記なくして所有権を主張できるのではないのでしょうか。
116閲覧
これは、「相続と登記」という超有名な論点ですね。 2020年3月31日までは、民法177条で、2020年4月1日以降は、民法899条の2第1項の問題となるみたいですね。 事例2については、「I・Jへの共同相続の登記をする前に、Jが相続放棄をしている」のですから、Jは、当該物権変動(相続)において、Jは当初から相続人ではなかったことになります(民法939条)。すなわち、当該不動産は、Iが単独で相続したことになるのです(民法899条の2第1項は、「次条及び901条の規定により算定された相続分」と規定していますが、推定相続人が相続放棄をしていた場合には、当該相続人は相続の当初から相続人でなかったことになるので、本件事案の場合は、相続人はIのみということになります。)。 ⇒Jが単独で相続した旨の登記をしたとしても、Jは、当該土地について全く無権利者ということになります。ネモ・プルス原則(「何人も、自己の所有する権利上の権利を処分することはできない」という原則)からすれば、Jから当該土地を購入したKは、表見法理(例えば、民法94条2項の類推)によるのでなければ、当該土地の所有権を取得できません。 事例①については、「F・Gについて相続分を2分の1とする共同相続の登記をした後で、F・G間の遺産分割協議によりFが単独相続したことになった」のですから、まず、Fの相続分については当然にFが承継し、Gの相続分については、当該遺産分割の協議により「G⇒F」の所有権移転(贈与・売買・交換類似の物権変動)があったものと考えられます。しかし、このFがGから取得した相続分については、上記民法899条の2第1項にいう「法定相続分を超える部分」に該当するので、登記が無ければ第三者に対抗することができません。 ⇒このGの相続分については、遺産分割協議による「G⇒F」の物権変動とGが自己の相続分の登記をした上でなした「G⇒H」の物権変動という二重譲渡類似の関係が想定できます。従って、FとHは、当該「Gの相続分」について、対抗関係に立ち、登記の先後によって決せられることになります(民法899条の2第1項)。本件の場合、Hが先に登記を具備しており、Hが所有権を取得することになります。 なお、付け足しですが、事例➀については、「既にHが当該相続分につき登記を具備しているにもかかわらず、『Fは、登記なしに、Hに単独所有権をHに主張できない』というのは、いかなる場合を意味しているのでしょうかね? 常識的に考えてみると、「Fが登記を具備する場合」を想定できません。(「Hが未登記の場合に、Fが登記なしには、・・・」なら、意味が通じるでしょう。) これで理解できるでしょうか?
< 質問に関する求人 >
宅建(東京都)この条件の求人をもっと見る
求人の検索結果を見る
< いつもと違うしごとも見てみませんか? >
覆面調査に関する求人(東京都)この条件の求人をもっと見る