「深刻な四国の獣医師不足を解消するため」という大義名分で新設されたはずの岡山理科大学獣医学部で、四国で獣医師になることを希望する「四国枠」合格者が昨年は4名、今年はたった1名しかいない(募集人員は毎年20名以内)。 安倍首相は国家戦略特区によって規制緩和することの正当性として、深刻な四国の獣医師不足を解消するためだとし、こう説明していた。 「(獣医学部が)四国にないのは事実であります。鳥インフルエンザあるいは口蹄疫等の問題が発生したときに、これは当然、獣医師不足であるのは明らかであります。そうした拠点をしっかりとつくっていく。(中略)そういうことにおいて特区諮問会議で決定をされたと」 「産業獣医が不足している、あるいは獣医公務員が不足している、獣医師が地域に偏在をしているというなかにおいて、四国に一校もないというのはどう考えてもおかしいわけであります」 その後、加計理事長が岡山理科大獣医学部が「入試倍率は約20倍」と強調し、「獣医学部の新設は、結果を見れば、歪められた行政が正されたと評価されると考える」などと述べ、“加計ありき”で不当に優遇した事実をまったく関係のない入試状況でもって正当化したと発言。 しかし、肝心の「四国の獣医師不足を解消」するための「四国枠」特待生制度が機能していないということは「濡れ衣を晴らした」と自画自賛しても、獣医学部新設を認めた「前提条件」そのものを揺るがす事態を招いたことこそ、皮肉にも彼の最大の功績です。
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