「日本の公認会計士試験合格」と「米国公認会計士試験合格＋アクチュアリー試験合格」はどちらのほうが難しいですか？

Question

「日本の公認会計士試験合格」と「米国公認会計士試験合格＋アクチュアリー試験合格」はどちらのほうが難しいですか？

Answer 1

私は日本の公認会計士試験合格者、かつアクチュアリー試験受験者です。

日本人がそれぞれの資格合格にたどり着くまでの年数で比較するなら、後者のほうが時間がかかるでしょう。それはＪＣＰＡは同時に全科目を受験する試験であるため、早い人なら勉強開始から１年程度で合格します（私もそうです）。ただ、アクチュアリーは１次試験と２次試験の間に一年挟むのでそれだけで時間がかかります。ＵＳＣＰＡも受験するとなると、最低４年くらいはかかるのではないでしょうか。

難易度で比較するとなると、それぞれの試験で問われる知識が違うので一概に比較ができません。

まず日本公認会計士（ＪＣＰＡ）と米国公認会計士（ＵＳＣＰＡ）を比較すると、ＵＳＣＰＡはＪＣＰＡの6割くらいの印象です。ＵＳＣＰＡは科目合格制であること、合格者数が日本の10倍あることから合格は比較的容易です。ただ試験や教材が英語であるため、その難しさを勘案して6割としました。

次はＪＣＰＡとアクチュアリーを比べていきます。
アクチュアリーは科目合格制で、7科目への合格が必要です。アクチュアリーは企業で働きながら受験する人がほとんどで、働きながら1科目ずつ合格できるという点で簡単といえます。また、アクチュアリーの１科目はＪＣＰＡの１科目よりも分量が少ないので簡単です。
ＪＣＰＡは原則として全科目を同時に受験して総合評価がなされるため、試験にかかりっきりになることが必要です。したがって、働きながら合格はほとんどおらず、少なくとも二次試験直前には会社を辞める人がほとんどです。また、合格者のレベルがかなり高いので、勉強途中で挫折する人もしばしばです。

私にとって必要な勉強量で比べると、アクチュアリーはＪＣＰＡの7割くらいの印象です。ＪＣＰＡは膨大な量の暗記が必要なので、かなり時間がかかります（合格者平均で3000時間とも言われています）。一方のアクチュアリーは本人の数学的素養に大きく依存します。数学が得意な人ならたいして暗記をしなくてもすらすらと数式が頭に入り、少なくとも１次レベルはすぐに合格レベルに到達します。しかし、数学のセンスがない人はいくらやっても理解できないでしょう。友人にＪＣＰＡに合格し、アクチュアリーを目指している人がいますが、アクチュアリー会発行のテキストを読んでも意味を理解できず予備校に通っているそうです。たまに勘違いされる方がいますが、公認会計士試験に数学は一切出てきません。なので合格者の８割は数学がほとんどできません。線形代数の基本すらわからない人がほとんどです。よって公認会計士試験に合格した人でもアクチュアリーに合格できるポテンシャルを持った人は１割もいないでしょう。逆に、アクチュアリー正会員でも公認会計士試験に合格できる人は雀の涙ほどでしょう。
そもそも公認会計士が文系資格であり、アクチュアリーが（使われる数学はたいして難しくないが一応）理系資格であるため、受験者層が異なり、比較が困難です。向き不向きの世界です。ただ、私は既に数学、会計、経済、投資理論に詳しいことを鑑み、客観的に考えるとアクチュアリーはＪＣＰＡの8割5分程度の難易度です。

以上から、ざっくりですがＪＣＰＡが10に対して、ＵＳＣＰＡ＋アクチュアリーが6＋8（試験範囲が重複している会計を除いて）＝14で後者が難しいって感じです。
もっと簡単に言ってしまえば、ＪＣＰＡは文系を突き詰めてひたすら暗記すれば受かるが、ＵＳＣＰＡ＋アクチュアリーはある程度の文系素養＋英語＋数学素養を兼ね備えていないと受からないので、難しいんじゃないのってことです。