物上代位に関する次の問題文の解説をお願いします。 ※行政書士試験平成26年－問30です 物上代位に関する次の記述…

Question

物上代位に関する次の問題文の解説をお願いします。
※行政書士試験平成26年－問30です

物上代位に関する次の記述のうち、民法の規定および判例に照らし、
誤っているものはどれか。4.動産売買の先取特権に基づく物上代位につき、買主がその動産を用いて第三者の
ために請負工事を行った場合であっても、当該動産の請負代金全体に占める価格
の割合や請負人（買主）の仕事内容に照らして、請負代金債権の全部または一部
をもって転売代金債権と同視するに足りる特段の事情が認められるときは、動産
の売主はその請負代金債権を差し押さえて物上代位権を行使することができる。

5.抵当権者は、抵当不動産につき債務者が有する賃料債権に対して物上代位権を
行使することができるが、同不動産が転貸された場合は、原則として、賃借人が
転借人に対して取得した転賃貸料債権を物上代位の目的とすることはできない。

「例」を使って問題文が何を言っているのか詳しく
説明をしていただけますでしょうか。

お手数ですが、よろしくお願い致します＞＜。

Answer 1

まず抵当権の順位一位から債権者の負債を支払っていくと思いますが先取特権は会社が倒産した際の職員の給与が先取特権となっております。

必ずしも一番抵当権優先ではありません

Answer 2

＜４について＞
動産売買の先取特権は、その動産が売買された場合に、その代金債権に物上代位するという基本はご存知ですよね？（民法304条）
更に、動産の先取特権はその目的物が第3者に引渡された場合には消滅することも学習したかと思います。この引渡しには占有改定を含みます。（H17.2.22）

さて、設問について
AがBに対して、甲木材を売却し引渡しました。しかし、Bはまだ未払いの為AはBに対し、動産売買の先取特権を有します。
その後、Bは注文者Xから家の建築を請け負いました。
そこでBは、甲木材を用いて家を建築しXから請負代金を受領しているとします。

この事例では、甲木材は売買されておらず、更に甲木材は民法242条、243条及び246条によって注文者に所有権が帰属するもの、或いは完成物に所有権が吸収されたと解されるため、Aが甲木材に対して有する先取特権は消滅するのではないか？という論点の問題です。

そこで判例は、設問のように解する、つまり甲木材を材料に使用して仕事を完成させたというのは、甲木材の材料対価として請負代金債権の一部を形成していると解することができるから、転売代金と同視できることとして相当額を請負代金の一部に物上代位できるとしたということですね。

＜５について＞
これは少し設問がややこしい言い方をしているだけです。

A（賃貸人）が抵当権を設定しているB所有の甲土地があるとします。
B（債務者であり賃借人）が土地をCに貸しているとしますね？
さらにC（賃借人であり転貸人）はD（転借人）に転貸しているとします。（もちろん、Bの承諾を得た転貸借です）

このときBがCに対して有する賃料債権にAは物上代位することができるが、CがDに対して有する転貸賃料債権には物上代位できない。ということを意味しています。

これは
「民法372条によって抵当権に準用される同法304条１項に規定する『債務者』には、原則として、抵当不動産の賃借人（転貸人）は含まれないものと解すべきである。けだし、所有者は被担保債権の履行について抵当不動産をもって物的責任を負担するものであるのに対し、抵当不動産の賃借人は、このような責任を負担するものではなく、自己に属する債権を被担保債権の弁済に供されるべき立場にはないからである。」（H12.4.14）

以上の判例で言われているように、転貸人であるCは、債務者ではないのだからCがDに対して有する転貸賃料債権が、その土地がたまたま抵当権の担保として提供され、たまたま債務者の債務不履行によって物上代位され差押えされてしまうというのは、Cが有する権利を害する結果になるから、転貸賃料に対して物上代位は認められない、という意味です。

もちろんCがBに支払うべき賃料債権は、Aが払い渡し前に差し押さえれば物上代位できることは（同304条）前述した通りで、それはCはそもそも支払う義務がある金銭ですからAに取り上げられても結果は変わりませんが、Dから受け取るべき転貸賃料を取り上げるのは横暴だろ？って考えればわかりやすいかと思います。
尚、賃料と転貸賃料の額が、同額であろうと差額があろうと結論は同じです。