本来の「着付け」は、人に着付けてあげる(着せてあげる)技術です。自分で着物を着ることは、本当は着付けとは言わないのです。 ハクビとか装道とか大手の着付け教室はちゃんとシステム化した試験があって、留袖の着せ方、振袖の着せ方、振袖の帯結びをいくつも、花嫁衣装の着せ方、という形で段階を踏んで試験をして合格して次のステップへ上がっていくのです。本当は。 制限時間内に着せることや、体格に合わせてきちんと着せているか、帯結びは美しいかなどを試験しますし、着物の知識のペーパーテストもありました。というか今でも「本コース」ではそれをやってます。 教室の月謝のほかに試験ごとに費用がかかり、お免状をもらうのにはさらにお免状代がかかる等、トータルではけっこうな費用になりますが、それでも昔は、花嫁衣装まで正式に着せられるという技術はそれなりにその後の収入を生みました。 着付けの師範免状を取った人が専業主婦になって、周りのお嬢さんに着付けてあげるたびに謝礼を受け取るとか、子どもが独立したら自宅で着付け教室を開くとか、すごい時給で結婚式場のパートに出るとか、そういうのを私の周りでもよく見ました。ところが、結婚式に正式な花嫁衣装を着なくなり、振袖をお正月やお見合いや初出勤(大企業では恒例だった)などのハレの日にも着なくなり、着付けの需要は激減しました。着付けの技術は美容師さんと結婚式場スタッフが持ってるもので事足りるようになりました。20年くらい前までは、成人式や卒入学式の着付けに飛び回って数十万円稼ぐような「主婦」もいましたが、今はそういう人に頼むと言うことがあんまりないですよね。だから、着付け教室に通っても、もとがとれないんです。 その反面、母親世代がもうすでに着物を着ないために、着物の知識が全くゼロという世代が昭和の終わりには出てきて、この人達をターゲットにした「着物教室」というものが出てきました。 本来の「着付け教室」でも、そもそも自分で着られない人が人に着せられるわけがありませんから、最初の8週くらいは自分で着る練習がメインなわけです。それを独立して「自装コース」にしてみたら、いつの間にかそっちが主流になってしまって、「着付け」という言葉は自分で着る話になってしまうのです。 他の習い事と違って、着物を着るというのは着られるようになってしまえば終わりで、継続的に通うことはありません。DVD見て着られるようになった人も最近は多いのですから、普段着の着物なんて簡単なんです。そのため、着物を着られるようにするだけの教室というのは生徒さんの確保にいつも悩みますし、試験もお免状も無いとハッキリ言ってそんなに収入にはなりません。それならば、初心者にアドバイスしながら着物も売りつけちゃえ、という感じになり、今のように「着付けに通うと着物を買わされる」という状況が出来ました。 というわけで、 着付け教室は長い時間をかけて、正式な着物の着せ方を学び、それを着せてあげる技術を習得する。着物を着付ける(着せる)ことを職業的技術にするために学ぶのが本来の目的だが、ピアノと同じくお嬢さん的素養と思っている人も多い。 着付けは、技術です。
なるほど:6
着付けを習うのはピアノを習うのと同じです。 楽譜が読めて鍵盤の位置が分かるようになったらピアノなんか習わなくたって弾ける…なんてことが無いように、着物があって着方が分かったらそれでお終い、ということはありません。 着物は首を通して手を通せば着れるわけではありませんので、着方がわかってもそれを「綺麗に着る」には練習が必要です。 また、体格や手の動きの癖、姿勢も個人で異なるので、それに合わせた着方を『自分で』見つけて習得するしかありません。 その手助けとして着物講師がいます。 自分の体型や癖を考慮して、理想の着姿になるには着物の仕立てを変える必要があります。自分に合わせた着物が必要になるわけです。「着物を買わされる」のはこの為です。 なので、別に綺麗になんて着れなくてもいい、着物なんか着れてればいーんだ、という方は買う必要はありませんし、続ける必要もありません。 ただそれは「音が出るんだからキーボードで練習してていけないの?」と言っているのと同じです。 いろいろな作曲家がいて様々な曲があるように、着物や帯にもいろいろな素材があって様々な織り方があり、同じように着ても同じ仕上がりにはなりません。 どんな着物を手にしても自分の目指す着姿になるように工夫し、練習するのが着付け教室です。 あまり開かれた世界では無いせいか誤解されることも多いですが、一般的な習い事と何も変わりません。 ピアノのレッスンが目的なのか、手段なのか、と聞かれているのと同じことです。 ただ、開かれていない世界なのを逆手にとって、悪徳業者かと思うような教室や呉服屋がいるのも事実なんですがね…
なるほど:1
長くて不思議な教室が多いですね。着るだけなら数日ですから。それで運営する為です。着付けは着物を着る手段以外にありますか?洋服も同じ。
何をしてるか? 「自分で着れるように・さらには他人に着せられるように勉強」してるんでしょう? 手段であり目的でもあります。 それは個々の求める度合いによりけりです。 私の場合は手段で始まり、途中で目的となりました。 今は動画を見ながら独学で着付け技術も身につきますが、それって自動車でいうところの「実技」だけ身についたって事ですよね。 「学科」となる知識は、やはり他人から学ぶところが大きいです。 本には、個々に合わせたアドバイスなんて載ってませんもの。 そういった事も教えてくれるのが教室。講師や仲間でしょう。 知識を踏まえて自分らしく崩しながら着るのと、知識がないが為崩れた着方とでは、まったく異なりますから。
なるほど:1
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