■普段の業務内容を教えてください。 救命士は基本的に、救急隊として救急車に乗務して働いている人が殆どです。 (そもそも、「救命士」という資格自体、現場で働く救急隊の為に創設された資格制度です) ですから、普段の業務内容というと、やはり救急車での活動になると思います。 指令を受けて現場へ行き、概要や主訴から病態を考え、適応医療機関を探し、必要な処置を行いながら搬送します。 救命士は、かならず「救急救命士標準テキスト全5巻(ヘルス出版)」を勉強しています。 救命士が勉強する標準的な内容を知りたいのなら、これらのテキストを参考にされると良いかと思います。 ■医師の指示の下にどのような業務までは許されているのか 最初に答えを書きますが、医療機関内で、救命士は医療処置を行うことは出来ません。 救命士が行える医療処置(救急救命処置と言っています)は以下の通りです。 (1) 半自動体外式除細動器による除細動 (2) 乳酸リンゲル液を用いた静脈路確保のための輸液(CPAに限る) (3) 食道閉鎖式エアウェイ、ラリンゲアルマスク又は気管内チューブによる気道確保(挿管はCPAのみ) (4) エピネフリンの投与(ルートからプレフィルンドシリンジを用いて) (5) 精神障害者への対応 (6) 小児科領域の処置 (7) 産婦人科領域の処置 墜落産時の処置......臍帯処置(臍帯結紮・切断) 胎盤処理 新生児の蘇生(口腔内吸引、酸素投与、保温) ・子宮復古不全(弛緩出血時)......子宮輪状マッサージ (8) エピペン投与(エピペン所有者に限る) (9) 聴診器の使用による心音・呼吸音の聴取 (10) 血圧計の使用による血圧の測定 (11) 心電計の使用による心拍動の観察及び心電図伝送 (12) マギール鉗子・吸引器による咽頭・声門上部の異物の除去 (13) 経鼻エアウェイによる気道確保 (14) パルスオキシメーターによる血中酸素飽和度の測定 (15) ショックパンツの使用による血圧の保持及び下肢の固定 (16) 自動式心マッサージ器の使用による体外式胸骨圧迫心マッサージ (17) 特定在宅療法継続中の傷病者の処置の維持 (18) 口腔内の吸引 (19) 経口エアウェイによる気道確保 (20) バッグマスクによる人工呼吸 (21) 酸素吸入器による酸素投与 (22) 気管内チューブを通じた気管吸引 また、近いうちに解禁される見込みの医療処置として、 ・ショック時のルート確保 ・血糖値の測定 ・ブドウ糖投与 が行えるようになる見込みです。 ただしこれらは、救急車や現場でしか行うことは出来ません。(救急救命士法第四十四条) 医療機関内でも行って良いとはどこにも書かれていません。 ■ 近年、医療機関で働く救命士が増えてきましたが、そもそもが、現場のための資格なので、救命士が医療機関で働く事は想定されていません。法整備が叫ばれている段階です。 医療機関で働く救命士の実際は、医療機関によって様々なようです。グレーな感じで働いている救命士もいるかもしれませんね。 また、医療機関で働く救命士は、救急隊との連絡調整、蘇生・外傷等の院内教育、DMAT隊などを行っている事が多いようです。
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