警察官の最高のポストには警視総監と警察庁長官があります。 階級上では警視総監ということですが、事実上の警察組織のトップ…

Question

警察官の最高のポストには警視総監と警察庁長官があります。
階級上では警視総監ということですが、事実上の警察組織のトップは警察庁長官とのことでした。

それならば結局のところ、警察庁長官は警視総監より上位職なのでしょうか。
また、どちらも次のポストがない終末の地位で退職を迎えるそうですが、ということは、昇任の過程で警察庁長官へのルートと警視総監へのルートに分かれ、前者の方がエリートコースということなのでしょうか。

Answer 1

＞警察庁長官は警視総監より上位職なのでしょうか。・・・・

『警察庁の所掌事務』においては都（警視庁）道府県警察に対して指揮監督権がありますから警察庁長官は上位職になります。
ただし全てにおいて警察庁に指揮監督権があるわけではありません。
指揮監督権を有しているのは『警察庁の所掌事務』においてのみです。（警察庁は警察行政、立法を担う官庁です。）

例えば都（警視庁）道府県警察の主たる『犯罪の取締り（捜査）や犯罪者の逮捕』は『警察庁の所掌事務』には含まれていませんから建前上は警察庁長官と言えども事件の捜査などには口出しは出来ないことになっています。（内閣総理大臣による緊急事態布告があった場合にのみ警察庁長官が直接、都（警視庁）道府県警察を指揮することが出来ます。）

組織上は長官が上なのですが実は実質上は警視総監が警察庁長官よりも上位になることがありました。
他の方も書かれていますが以前は警察庁次長（警察庁No.2）から長官又は総監に昇任することがありました。
これだと、前任の次長が警視総監に昇任したあと後任の次長が警察庁長官に昇任した場合、事実上の警視総監の方が上位となります。何故かと言うと総監の方が長官よりも先輩年次となるからです。
実は警察庁に限らずすべての省庁の官僚には『年次の年功序列』（先輩年次が後輩年次よりも上位）と言う鉄則があります。
つまり、後輩の警察庁長官は先輩の警視総監が勇退するまで頭が上がらないことになります。
これでも前に述べたように警察庁長官と警視総監は職務が違いますので平時は問題なかったのですがあの有名な『XXム真X教事件』の時に、この矛盾が露呈しました。
この為、この事件以後、

・警察庁局長級→警察庁次長→警察庁長官

・警察庁局長級（官房長、局長、警察大学校長）→警視総監
というコースが定着しました。

＞昇任の過程で警察庁長官へのルートと警視総監へのルート・・・
警察庁は毎年、幹部候補として１５人前後をキャリア組として採用していますが特に総監コースと長官コースに分かれるわけでは分かれる訳でありません。各年次のサバイバルの最終勝利者が警察庁長官、警視総監となります。大抵は長官か総監のどちらか片方だがたまに同年次から両方輩出することもあります。（稀にどちらも輩出しないことも・・・）

現在は長官と総監を上に書いたコースとすることにより必ず警察庁長官の年次が警視総監よりも上位となるようになっています。この為、２年次セット又は３年次セットとなっています。わかり易く現在の組織（３年次セット）で説明すると次のようになります。

・米田警察長官（1976年→76入庁）
・金髙警察次長（78年入庁）
・西村警視総監 （79年入庁）
で米田長官と次期長官の金髙次長の年次が西村総監よりも上位となっています。ちなみに西村総監の前任の樋口総監は金髙次長と同期の78年入庁です。（同年次から長官と総監を輩出する場合は先に総監になった方が勇退した後に長官に昇任させることで長官と総監が同年次とならないようにしている。）
又、77年入庁組の幹部は残っていないので77年組は長官、総監どちらも輩出せずのようです。

Answer 2

警視総監は"警視庁"と言う
47自治体の中の地方警察の一つです。
つまり、他の県警と同じ扱いの為、
警視総監は、いわゆる、県警本部長とほぼ同じ扱いに
なります。只、警視庁は首都の警察であるため、ほんの少し偉い扱いです。
ちなみに、警視総監はあくまでも役職名であり、
階級上では警視長以上の幹部になります。

対して、警察庁は全国警察のトップに立つ存在であり、
広域捜査の場合は警察庁が指揮権を握ります。

その為、警察庁長官は日本警察のトップであるという事です。

昇任の過程の違いは警視総監の場合、
国家公務員Ⅰ種試験に合格、入庁後は自動昇任の他に
昇任試験を受け、相応のポストに就けば、
次期総監になる事が可能です。

しかし、警察庁長官は、国家公務員になり、
一時期政府勤務をする必要があります。
その後、異動で警察庁に入り、昇任すれば、
ポストに就けばなれます。
警察庁長官と警視総監はどちらも国家公務員ですが、
まとめる組織が国家直営であるか、地方自治体の組織であるかの違いが大きい為、結果は警察庁長官の方がエリートコースになります。

長文すみません。

Answer 3

ずばり警察法（以下、単に「法」という。）の規定にそって整理してみます。

まず、警察庁長官（以下、単に「長官」という。）は、字の通り国の警察組織である警察庁の「長」です（法16条1項）。
その職責は、ざっくりいうと、警察庁の仕事の取りまとめと、警察庁の職務に関して都道府県警察を指揮監督することの2つです（法16条2項）。

一方、警察官は、長官を除き、警視総監から巡査までの階級があります（法62条）。
これだけ見ると、長官と警視総監の上下関係は明確にはなっていません。
ただ、長官が都道府県警察を指揮する関係で、都警察のトップである警視総監は長官の指揮を受ける立場となります。
ですから、その意味で、長官＞警視総監、ということになるかと思います。

長官と警視総監は、どちらも警察庁の局長経験者が就任しています。
以前は、警察庁次長や警務局長から警視総監になる場合が多かったようですが、最近は局長→次長→長官というのが多くなっていますので、局長から次長になる段階で長官コースと警視総監コースが分かれている、と見ることができるでしょう。
参考：ウィキペディアの「警察庁長官」と「警視総監」

Answer 4

類似した構図に大阪府と大阪市があります。
大阪府知事は大阪府のトップであり、大阪市長は政令指定都市である大阪市のトップです。
ではどちらが上か、といえば大阪府全体を管轄する大阪府知事が上です。
しかし、大阪市のトップは大阪市長ですから、大阪市の内政については基本的に大阪市長が指揮監督します。つまり、大阪府知事は大阪市長に対してよほどのことがない限り干渉しません。
しかし、事実上トップが2人いることになりますのでダブルスタンダードと言えます。

というわけで、警察官全体のトップである警察庁長官の方が東京都の警察のトップ警視総監よりも上位です。したがって、警察庁長官は警視総監に指示監督できる権利があります。しかし、よほどのことがない限り警察庁長官が警視総監に干渉することはありません。これもまたダブルスタンダードです。
実務組織のトップが警視総監、行政組織のトップが警察庁長官といったところでしょう。

両者の昇任のルートについてですが、これは入庁時の年齢もかかわっているそうです。つまり、入庁した日が早くおよびその時の階級が上の方が警察庁長官となるそうです。

以上のように警察庁長官のほうが上なのですが、実際の警察官はどちらのポストを望むかといえば警視総監だそうです。
なぜなら、あくまで警察庁長官は事務方のトップであり、警察官としての活動からは一線を退くことになります。一方で警視総監は首都である東京都の警察官トップ、最高司令官として指揮監督に当たるわけです。警察官として生きてきて警察官として最後を終えたいと思うのが本望なのでしょう。

たとえばここで教育委員会における教育長と学校の校長の関係について考えてみます。やはり教育長の方が当然校長よりも上位職です。しかし、教育長は事務方のトップであり現場からは一線を退くことになります。一方で校長は現場のトップとして第一線で活動するわけです。やはり教師は教師として最後を終えたいということです。

長くなりましたが結論は、警察庁長官は警視総監よりも事実上上位の職階です。しかし、警視庁の指揮監督権はあくまで警視総監にあり、警察庁長官は警察官全体の事務方のトップとして警察官としての職務から一線を退く形になります。
両者のルートは入庁年次やその時の階級で決まりますが、警察官が警察官として最後終えたいという心情から、警視総監を希望する警察官が多く、一概に警察庁長官の方が上とも言えないということです。実務組織のトップが警視総監、行政組織のトップが警察庁長官というダブルスタンダードです。要するに警察官にとっては両者同格の最高位です。