大手製薬企業の多くは、自社でジェネリックは開発しません。実際は、中小以下のジェネリック企業(100億以下の売上で製造と開発に特化)の開発したジェネリックに相乗りの共同開発で申請します。そうすればジェネリックの開発に人材を回す必要もなければ、製造委託したくすりを自社ブランドで販売できます。製造販売元は大手の製薬企業の名前でも、実際は、ジェネリック企業が委託製造しているのです。現薬事法はそれを認めています。一方、中小企業は開発コストを相乗りする企業とシェアできるのでメリットがあります。また製造委受託契約によって利益が見込めます。 日本においてジェネリックの需要が見込めるかというと、必ずしも楽観視できません。ここ10年は大型新薬の特許切れで次々とジェネリックが登場するでしょうが、新薬の登場自体、かつてより頭打ちの現状を考えると、その先に将来性は疑問です。今後は、抗がん剤のジェネリック開発ができる企業、バイオ後続品が開発できる企業など、生き残る企業と衰退もしくは吸収される企業とに分かれると思います。 くすりは、原薬(有効成分)があって、そこに添加剤を加えて、錠剤とか注射とか製剤化されます。しかし日本のジェネリックで、原薬から一貫製造している企業なんて片手で数えられるほどしかないです。ほとんどは、ヨーロッパ、インド、中国からの輸入です。日本でそれをやろうとしたらコストがかかって無理だと思います。海外の原薬は、アメリカ、EUだけでなく中国、インド、ロシア、ブラジルといった新興国も市場と捉えているので、規模とコストでつり合いがまったくとれません。 その上、欧米のほうが新薬が早く承認される分、ジェネリックの登場も早いので、日本のジェネリック企業が開発を着手する頃には、既に海外で原薬が開発されていたり、製剤自体が販売されているのが現状です。 したがって、ヨーロッパ、インドの原薬開発企業は、日本に目を向ける前に、FDA(アメリカ食品医薬品局)承認を得るのが、ひとつのブランドとなっており、EUもそれに追随する形になり、その後に日本となるわけです。日米欧でジェネリックの製造基準に一応の調和はありますが、FDAが先端と言えます。にも関わらず、日本の医薬品当局は、海外で開発の原薬に、より以上の品質を求める傾向にあります。日本の医薬品市場が7兆円ある今ならまだいいですが、日本にプライオリティを置かなくなったり、そもそも日本市場に関心がなければ、品質のいい原薬の取りあいになるでしょう。 また、海外ではどんどんジェネリック市場が伸びているのに、日本はやっと20%で大きな伸びにはなっていません。今の日本の当局、日本人のブランド志向を考えれば、飛躍的に伸びるのは考えずらいところです。 そういった意味では、ジェネリックの将来性は楽観視できるものではなく、サバイバルになると思います。では、海外に進出するかといういうと、前述のように、早い開発の着手とコストで太刀打ちできるとも思えません。非常に体力のいる仕事です。 一方、大手製薬企業といっても、世界で売上トップ10に入る企業はありません。武田薬品で10位台中盤です。とはいえ、世界で売れる新薬を開発できることこそが、大手企業としてもサバイバルなので、はっきりいって、日本の小さなジェネリック市場に目を向けているヒマはないと思います。日本の売上上位の多くは、外資開発の新薬である一方、日本の製薬企業の新薬が、海外で大きく売れている成分なんて数えるしかないのが現状なのです。 ジャパン アズ ナンバー1。自動車、家電、インフラ整備、食品の品質、顧客サービスなどでは言われるかもしれません。でも医薬品の世界では後進国といっても過言ではありません。日本の高品質のくすり?だから?ってな感じです。日本では、錠剤に見えるか見えないかのわずかな黒い斑点があったら、市場にはでないか、市場で見つかったら回収します。でも、効き目に変わりはないのでしょ?われわれのくすりはFDA基準でなんの問題もないのに、なんで?メイド イン ジャパンが通用しないのです。それにメイド イン ジャパンでも原薬は海外品なのですから。 そんな日本の医薬品業界の背景を知って頂ければ、ご理解頂けるのではないでしょうか。
なるほど:6
簡単に言うと、どちらに投資するかということです。 新薬を作って特許を取って売る場合と、ジェネリックを売る場合では利益が全然違います。そこで、企業としてはまだ体力のあるうちは新薬の方に注力したいんです。 メリット:複雑な臨床試験などしなくても後発品は作れるし承認とれる。 デメリット:ジェネリックは他社も作るので、激しい競争になってしまう。今まで作っていなかったので、それ用の製造ラインが必要である。 まだ日本ではジェネリックへの信頼が低いです。日本には、「安いものは品質が低い」というイメージもあります。医者も「成分は同じといっているけど、製剤の仕方などは違うので、データもないし薬効に信頼が置けない。」という意見もあり、しかもそういう事実もあります。
自社でジェネリックを扱う事は、大手では様々な弊害が予想されます。 ・自社ブランドイメージを下げる ・従来品以外に人員配置を行わなければならない →先発メーカーは情報提供が確かというイメージがある 実は大手でジェネリックを積極的に扱っていないのは ・アステラス ・中外 ぐらいしかありません。 武田薬品は子会社のあすか製薬、第一三共やファイザー、ノバルティス、万有(メルク)、エーザイなども子会社で後発品を発売または発売予定です。 これが参入が中小企業に一見見える理由です。 田辺三菱や大日本住友、明治製菓など新薬のパイプラインに乏しく自ら後発品への道を選択しつつあるメーカーもあります。 杏林のように沢井に買収されつつあるメーカーもあり、小野のように意地を張って独自路線を歩むメーカーもあります。 参入しない理由はその会社の社風や文化であり、今後の新薬に目処が立っている、または内部留保など体力がまだあるといったところでしょうか? また、純粋に価格競争となり、利幅の面で大きなメリットを得られない、特に発売数年で薬価を大きく下げられる可能性がある(先発品の10分の1の薬価といったのものたくさんある)といった理由があります。 これは参入した際のデメリットとも言えます。 参入したメリットは、単純に売上高を確保したいという思惑でしょう。 売り上げと利益はイコールではないので、厳しい戦いを強いられ、いずれは後発品を出すメーカーは淘汰されるのは間違いないでしょう。
まず、大手製薬でもエーザイのように子会社からジェネリック販売を既に実施している会社や第一三共のように本格参入を狙って子会社を設立した会社は出ています。 従来大手が参入しなかった理由をメリット・デメリットから見てみますと… 【メリット】 ①自社にない新規市場の開拓が容易 ②新薬開発が難しくなってきている現状下での安定的収益源の確保 【デメリット】 ①従来、品質面や安定供給面、アフターケア面への不安かジェネリックが市場に受け入れられなかった事で、大手は特許切れした製品でも収益を安定的に得ていた。大手がジェネリックを扱い始めると、市場もジェネリックへの許容範囲が広がるため、かえって自社特許切れ製品のライフサイクルを短くしてしまう。 ②中小零細の「安かろうマズかろう」のジェネリックメーカーと価格面で本格的に戦うのは分が悪い。 という感じですかね。 厚労省が力づくでジェネリックを市場浸透させてきた今、結果的にはデメリットよりメリットの方が徐々に拡大してきているかも知れません。
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