弁理士の業務内容について

Question

弁理士の業務内容について弁理士という職業に興味があります。
特許事務所のホームページなどを見ると、機械系や化学系、ソフトウェア関連等非常に広い範囲についてサポートされている所も多く見受けられます。
大規模な事務所ですと多くの人材を抱えているので、得意分野ごとに人材がいらっしゃるのかと想像できます。
しかし、個人でされていると思われる事務所でも、そのような広範囲に亘る案件を扱っていらっしゃるようで、これは一人の弁理士がこれだけの範囲をカバーされているという事なのでしょうか？
弁理士というのは少なくとも、企業の技術者と議論が出来る程度には、その分野について理解していないと務まらないのではないかと思っているのですが、そうでもないのでしょうか？
例えば機械系を専攻した人材ですと、化学系の知識はほぼ皆無だったりしますよね？そういう人間が弁理士になって、化学系の特許を申請するための業務が出来るのでしょうか？
必要に応じて勉強するにしても、時間的にも付け焼刃になるでしょうし･･････。
それとも、技術的な解釈は深くなくても、「どのようなところが新しいか」を法的な知識を基にして、文章でまとめられたら務まるのでしょうか。
門外漢で、実務については全く分からないので教えていただければ幸いです。

Answer 1

私は弁理士ではありませんが会社勤務の現役時代には５０件を超える特許を取得しており、その内の何件かについては弁理士の方と直接内容につきヒヤリングを受けた経験があります。その経験から言えば「専門的な知識が無い分野でも特許の申請業務は出来ます」が結論です。何故なら質問者さんが書かれている「どのようなところが新しいか」と「どんな問題が解決できるか、又は、どんな新しいことが出来るのか」が判れば、あとは申請書特有の書き方でそれが表されているように書類を作れば良いので技術的な中身が判らなくても良いからです。大体は特許を申請する人が予め文書で書いてくるのでそれを見れば判りますが、判らない場合はヒヤリングで質疑応答を行えば判ります。本当に丁寧にやろうとすれば「先願」は無いかを調査したり、「出来るだけ上位・広範囲な特許」に出来ないか？を考えたりがあります。しかし、申請して審査を通らなくてもそれは弁理士の責任ではなく後者も同じです。寧ろ専門技術系の知識が要るのは申請業務では無く「抵触調査」です。抵触調査は、二通りあって一つは自社の出す新製品や新製法が他社の特許に抵触していないか？二つ目は、逆に他社が出したものやっていることが自社の特許に抵触していないか？を調査することです。こちらは全然目的の違う特許でも同じ結果が波及効果であっても得られる時は抵触するので調査する範囲と波及効果まで考慮する必要があるので技術的な知識が必要になります。私が勤めていた会社では特許部がありましたが、殆どの部員は文系で申請の時は弁理士に行く前に特許部員が事前審査してました。しかし、抵触調査は特許部から各技術部門に調査依頼が来てました。従い、特許申請の業務について言えば「申請書類の書き方を含めた特許の知識」と「読解力」「文章力」「広い常識」があれば技術の専門知識がなくとも業務ができます。逆に機械系、化学系と言ってもその中身は千差万別で到底全ての知識を得るのは無理です。ちょっと分野が違えば皆無と同じようなものです。

Answer 2

特許事務所に勤務している弁理士です。
我々の仕事はサービス業です。
すなわち、企業から依頼があったときに、その企業の知財部員や研究者から発明の内容を聞き出す必要があります。
その際、自分が専門知識がなくとも、企業の人間に要点をしゃべってもらうように上手に聞き役に徹することが必要です。
企業の人間は、自分の発明を相手に理解してもらうとうれしいと感じることが多いと思いますので、積極的に親切にしゃべってくれる方が多いです。

すなわち、弁理士は、最低限の知識は必要ですが、あとはコミュニケーション能力を磨き、相手に失礼の無いように接すれば、相手の助け舟に乗ることが可能です。
ただし、仕事である以上、発明を理解するために、自分で勉強はするようにしています。

専門知識がなければ勤まらない仕事ではありません。