OJTとは「On-the-Job Training」を省略した言葉で、職場で仕事を実際に行ないながら従業員を訓練することを意味します。職場訓練や職場指導と呼ばれる場合もあります。 OJTと対照的なものが、OFF-JT(Off-the-Job Training)と呼ばれる集合教育で、講習会やセミナーなどが該当します。 現場を離れて研修会に参加するなどの一般的な内容を教育するOFF-JTに対して、OJTではより実践的な訓練ができるのが特徴です。
日本ではかつて徒弟制度が広く浸透し、現在でも一部残っている業種もあります。OJTは、徒弟制度のような指導機会を組織的かつ大規模に行なうものといえるでしょう。日本では、大学などの教育機関での職業訓練にあまり期待されていないという背景もあり、OJTは多くの企業で取り入れられています。 独立行政法人労働政策研究・研修機構が2020年に行なった調査では、73.5%の従業員がなんらかのOJTを経験したと回答しています。ただし、OJTの充実度には企業の規模などにより差があるのも事実です。 参考:独立行政法人労働政策研究・研修機構「人材育成と能力開発の現状と課題に関する調査(労働者調査)」
OJTは、日本の企業で広く実施されていますが、うまく機能していない事例もあります。例えば、OJTを行なう体制が十分に確立されないまま、指導員任せになっているケースです。このような企業では指導員任せによって、教える内容や質にばらつきが生じてしまうでしょう。また、多忙な部署では指導する時間が十分に取れず、OJTを受ける従業員が放置されたり、会社が指導員からフィードバックを受けられなかったりする可能性もあります。 こうした課題を放置すると、OJTを受ける従業員がいつまでたっても育成されず、組織にとってもマイナスとなります。組織的な指導体制を構築するなどしてOJTをフォローし、十分な訓練が行なわれることが必要です。