コンプライアンスとは「法令遵守」を意味する言葉です。従来のコンプライアンスは法令、制令など国や行政が定めた法令の遵守のみを意味しましたが、広義のコンプライアンスは社内規範・社会規範・倫理規範を含みます。 社内規範は就業規則やマニュアルなど、社内で社員が遵守する規範です。社会規範は社会常識を指し、社会人として常識ある行動が求められます。倫理規範は市場倫理・組織倫理・職業倫理などを指し、法令で定められてはいませんが、企業が信頼を得るために欠かせないものとなっています。
コンプライアンスが重視される背景には、企業の不祥事が相次いで起きていることがあります。コンプライアンス違反の代表例は、セクハラ・パワハラなどのハラスメント、情報漏えい、不正経理などです。 情報漏えいやハラスメントなどは、社員が無意識のうちに違反していることもあります。何をしたらコンプライアンス違反になるのか、社内規則やマニュアルを整備して周知し、行動意識を高めてもらう必要があるでしょう。
コンプライアンス自体は新しい概念ではなく、すでに一定年数取り組んでいる企業も多くあります。しかし、従業員が「やらされている」意識で行なっていることも多く、こうした意識が蔓延するとコンプライアンスが形だけのものになってしまうでしょう。 不正を起こさないためには、厳しいルールを作りがちですが、一人ひとりの意識を変えるという意味では逆効果になることもあります。 不正を起こさないルール作りだけでなく、風通しの良い社内環境や仕組みを作り従業員の意識を変えていくことで、コンプライアンスの形骸化を防ぐ努力も必要でしょう。