「ワーケーション」とは、ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた言葉です。具体的には、会社員や個人事業主などが休暇を取りながら、観光地や滞在先でリモートワークをする働き方を指します。 会社員がワーケーションを取り入れると、繁忙期を避けて観光地へ行けるうえに、普段と異なる環境で心身ともにリフレッシュしながら仕事ができます。 企業にとっては、ワーケーションにより従業員の有給休暇取得率が上がることもメリットの一つといえるでしょう。
ワーケーションという言葉自体は以前からありましたが、注目されるようになったのはコロナ禍に入ってからです。コロナ禍でリモートワークが徐々に浸透し、国がワーケーションの普及に意欲を示していることが影響しています。 しかし、現状だとワーケーションはまだ普及しているとはいえません。観光庁の調査によると、ワーケーションという働き方の認知度は高いものの、「ワーケーションを実施した」「会社で実施している」と回答した人は1割強という結果になりました。 また、「ワーケーションに興味がある」と答えた人も、3割弱にとどまっています。ワーケーションに興味がない理由には「業種がワーケーションに向いていない」「休暇中に仕事をしたくない」といった意見が多く見られました。
ワーケーションの課題の一つに、ワーケーションができる業種と、できない業種に分かれてしまうことが挙げられます。同じ企業内でも、ワーケーションができる部署とできない部署に分かれてしまうケースもあるでしょう。その場合、企業側が従業員の不公平感をいかになくしていくかが求められます。 また、滞在先でのセキュリティ問題もワーケーションの課題です。情報の暗号化がされていない滞在先での公衆Wi-Fiからの情報漏洩、盗難、紛失などのリスクがも考えられます。 ほかにも、労働時間の管理が難しい、ワーケーションでの費用負担の割合も考えなければなりません。このように、ワーケーションには従来の制度では想定されていない、さまざまな課題があります。今後はワーケーションも含め、多様な働き方に備えた環境づくりが必要です。