時短勤務とは、一日の所定労働時間を通常よりも短くした働き方のことです。育児や介護をする人をサポートするため、育児・介護休業法により時短勤務(短時間勤務制度)が定められました。例えば、育児の場合は、一日の所定労働時間を原則6時間に短縮できます。 時短勤務と似た制度に「フレックスタイム制度」があります。フレックスタイム制度とは、所定労働時間の短縮ではなく、始業時間や終業時間などを自分で設定できる制度のことです。
時短勤務が定められた背景には、少子高齢化の問題が大きく影響しています。少子高齢化により育児や介護の負担が非常に大きく、従来のフルタイムでの働き方が難しいと感じている人は少なくありません。 そうした背景から、2009年に育児・介護休業法が改正されて、「3歳未満の子供を持つ労働者」、「要介護の家族がいる労働者 ※一部例外あり」に対し時短勤務の導入が企業に義務付けられました。従来の制度では仕事を辞めざるを得なかったケースでも、時短勤務の導入により無理なく仕事を続けられる人が増えています。その後も2022年4月に男性育休に関する法改正が行われるなど、時短勤務のような働き方の制度は広がりを見せています。
時短勤務は少しずつ浸透してきてはいるものの、まだ課題も多く残る制度です。例えば、時短勤務の従業員に対しては突然の欠勤などに備えて、責任の小さい仕事や周囲に影響が少ない仕事が割り当てられる傾向にあります。しかし、本人にやる気がある場合には、仕事のモチベーションを削いでしまう可能性があるでしょう。 また、時短勤務を利用すると周囲の従業員の負担が増えるため、時短勤務を導入しただけでは従業員内での不公平感が高まり、人間関係が険悪になることも考えられます。そのため、時短勤務を行う従業員だけではなく、周囲も含めた環境の整備が必要です。 とはいえ、今後もさらに少子高齢化が進んでいくことから、時短勤務は制度として欠かせません。企業側は、これらの課題を少しでも改善できるように努力を続ける必要があるでしょう。