上場企業とは、証券取引所に上場株式を公開している企業のことです。証券取引所で売買ができる株式は「上場株式」と呼ばれ、売買されていないものは「非上場株式」と呼ばれます。 上場するには、証券取引所の厳しい審査を通過しなければなりません。そのため、上場企業は社会的な信用度が増し、資金調達が容易になるなどのメリットがあります。
日本の証券取引所で最も規模の大きな東京証券取引所は、今まで東証一部・東証二部・マザーズ・JASDAQ(スタンダード・グロース)に分かれていました。しかし、東証一部の企業の数が増えすぎたと同時に、質の低下が指摘されるようになり、2022年4月に市場が再編されました。 再編された理由には、東証二部・マザーズ・JASDAQのように、コンセプトの違いがあいまいになったという側面もあります。 新しい市場は、プライム市場・スタンダード市場・グロース市場の3つになりました。プライム市場は、グローバル企業向けの市場で、流通株式時価総額100億円以上などの条件を満たす必要があります。それぞれの市場の特徴は、以下のとおりです。 ●プライム市場 対象企業:グローバル企業 流通株式時価総額:100億円以上 流通株式比率:35%以上 企業数:1,837 ●スタンダード市場 対象企業:国内向けの企業 流通株式時価総額:10億円以上 流通株式比率:25%以上 企業数:1,448 ●グロース市場 対象企業:新興企業 流通株式時価総額:5億円以上 流通株式比率:25%以上 企業数:483 ※企業数は2022年9月2日現在のものです。
上場企業の場合、上場維持のためのコストや株主とのコミュニケーションの必要性、社会的責任の増大が発生します。株主の存在により経営戦略に制約が出る可能性もあるでしょう。株主と顧客、従業員の満足いずれにも配慮した経営が求められ、このような厳しい環境で企業を運営していかなければなりません。 また、敵対的買収にも留意が必要です。日本における事例はそこまで多くありませんが、上場している以上、敵対的買収のリスクは常に付きまといます。株主の意向とのバランスを取る必要はありますが、いくつかの買収防衛策を用意しておくことが望ましいでしょう。 ちなみに、労働者の立場で見ても、上場企業での就労にはいくつかの課題(留意点)があります。前述の敵対的買収のリスクもそうですし、就職・転職の際の激しい競争率や仕事の要求度の高さなど、入社前後でのハードルやプレッシャーが想定されるため、上場企業で働くことは決して楽ではありません。社会的信用度や待遇の面で魅力のある上場企業ですが、このような注意点がある点も知っておく必要があります。