フレックスとは英語で「flex」と表し、「融通のきく」「適応性のある」と訳されます。ビジネスの場でフレックスといえば、労働者自身が自らの働く時間帯を調節できる「フレックスタイム制度」を指すことが多いでしょう。 労働時間の調節とはいっても、すべてを自由に設定できるわけではありません。清算期間と呼ばれる一定期間内の総労働時間が決められているほか、労働しなければならない時間帯としてコアタイムが設けられているケースが多くあります。 これらの条件を満たしたうえで、始業時間や終業時間を自分で変更したり、忙しくない時期は労働時間を短くしたりできるのがフレックスの特徴です。
フレックス自体は1987年の労働基準法改正により、1988年4月から導入されていますが、普及が進み始めたのは最近のことです。これは、労働者のワークライフバランス向上が叫ばれるようになってきたことなどが影響しています。 普及が進み始めたとはいっても、厚生労働省の調査によると、日本でフレックスタイム制を導入している企業は全体の6.5%程度です。従業員が1,000人以上の企業では28.7%が導入していますが、99人以下の企業では4.1%にとどまっています。
フレックスの導入が進まない理由には、業種によって導入可否が分かれることが考えられます。プログラマーなど、業務が細分化され一人で完結する仕事であれば導入しやすいものですが、チームで行なう仕事や顧客がいる仕事の場合は導入が難しいでしょう。 また、フレックスにより社員同士が顔を合わせる機会が減り、社内でのコミュニケーションが不足してしまうおそれもあります。社内ツールなどをうまく活用して、コミュニケーション不全に陥らないようにすることも必要です。