解決済み
保育士試験の勉強をしています。 ある過去問題集の中で、下のような正誤を問う問題がありました。「わが国で戦後初めて法定化された子どもや子育て支援のための総合的な計画は、次世代育成支援対策推進法に基づいたものである。」 こちらの正解はマルだったのですが、解説を読んでもイマイチ理解しきれませんでした… 「戦後初めて法定化された総合的な計画」とは、具体的になんという計画の事を指しているのでしょうか? 2003年に次世代育成支援対策推進法ができ、2004年に子ども子育て応援プランが発表されていますが、子ども子育て応援プランについて書かれた問題なのでしょうか? またその場合、子ども子育て応援プランの前に発表されていたエンゼルプランや新エンゼルプランは法定化されていなかったという事でしょうか。 詳しい方、教えて下さい>< よろしくお願いします。
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エンゼルプランは「文部・厚生・労働・建設各大臣(当時)の合意により、1995年から実施された子育て支援のための総合計画」であり、新エンゼルプランはエンゼルプランを見直し、「大蔵・文部・厚生・労働・建設・自治の6大臣の合意により2000年より行われた子育て支援のための総合計画」です。 どう言うことかというと、それまで厚生省で担っていた「保育」の部分に対して、もっと各省庁でそれぞれのニーズを横断的に埋めていきましょうという計画だったわけです。 厚生省では、他の省庁より、待機児童の解消を迫られる一方で、労働省や建設省などに対して、子育て世帯の権利をもっと手厚くしてくれというスタンスでしたし、その一方でバブル期より始まった共稼世帯のニーズを埋められずに園児減少に苦しむ幼稚園も延長預かり保育などを実施したいというそれぞれの思惑が合致した形でスタートした横断的な計画でした。 これは、各省が連携して、通達や予算を出すことによって、一体的に計画的に子育て支援を行おうとしたものでした。 もともと1994年以前には、「子供は3歳までは自宅で主に母親が育てなければいけない」という考え方(これを三歳児神話と言います)が一般的で、「子育て支援」と言う概念はほぼ存在しなかったと思って良いと思います。保育所のニーズも、「保育に欠ける要件」があって初めて、保育所に措置されていたような有様でした。つまり、保育所は「訳ありの家庭」の「特殊な事情にある子」を預かる「預かり施設」としての側面が色濃かったのです。 しかし、離婚率の上昇に伴い1人親世帯が急増したり、男女の雇用機会均等による共稼ぎ家庭の増大、少子高齢化を見越した労働人口の確保、鍵っ子という問題が久しく問題になっていた中で、さらに核家族化などという子育て環境の激変も起こり、各省庁はそれぞれが抱える問題の対応に追われていたわけです。 エンゼルプランも新エンゼルプランもそれぞれの省庁が、連携して対応することで一致はしたものの、当時は現在の子育て支援とは程遠い内容で50年余りも歩んできたわけですから、エンゼルプランが発表された当時、保育所では、「何で親が美容室に行くために子供をあずからなければいけないのか」「親が休みなら親が子供の面倒をみるべし」などという反発も相当強かったようです。そこで、改めて「子育て支援」という概念を確立し、明確化するために、この新エンゼルプランを土台にして2003年に次世代育成支援対策推進法が制定されたわけです。 次世代育成支援対策推進法は、その第1条に記されている通り「急速な少子化の進行並びに家庭及び地域を取り巻く環境の変化」に対応するため、「次世代育成支援対策」という新しい「子育て支援」という考え方を採用し、「その基本理念を定め、並びに国、地方公共団体、事業主及び国民の責務を明らかにする」のと同時に、今までは予算対応のみで強制力を伴わないでやってきたエンゼルプラン、新エンゼルプランを法律化することによって「次世代育成支援対策」という社会的責務に位置付け、「迅速かつ重点的に推進し、もって次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される社会の形成に資することを目的」として制定されたわけです。 去年より、保育所利用の条件である「保育に欠ける要件」と言っていたものが、「保育を必要とする要件」と言い換えたのは地味なマイナーチェンジですが、それまでは親が全面的に子育てをすることが求められていて、「仕方がない場合は国が保育しますよ」と言ってきたのに対し、「国は各省庁の連携や協力を形成しながら保護者さんの子育てを全般的にサポートしますよ」という意味が込められているのです。 次世代育成支援対策推進法はその後、幼稚園と保育所の合併・一本化を目指し、認定子ども園制度を生み出します。その一方で、「児童の権利条約」との整合性を図るために民主党政権下で「総合こども園法案」が飛び出してきたりしました。その後、現在の「子ども子育て支援三法」に基づいた「子ども子育て支援制度」に落ち着いたわけですが、この支援制度は5カ年計画ですので、もう2年もすると「第二期子供子育て支援制度」が日の目を浴びることになるでしょう。 結局、「子ども子育て支援」という概念を当たり前のものにするために、法律が作られたということになります。
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