解決済み
行政書士試験【2010年 問30】に関してお聞きします。問題 A銀行はBに3000万円を融資し、その貸金債権を担保するために、B所有の山林(樹木の生育する山の土地。本件樹木については立木法による登記等の対抗要件を具備していない)に抵当権の設定を受け、その旨の登記を備えたところ、Bは通常の利用の範囲を超えて山林の伐採を行った。この場合に、以下のア~オの記述のうち、次の【考え方】に適合するものをすべて挙げた場合に、妥当なものの組合せはどれか。 【考え方】:分離物が第三者に売却されても、抵当不動産と場所的一体性を保っている限り、抵当権の公示の衣に包まれているので、抵当権を第三者に対抗できるが、搬出されてしまうと、抵当権の効力自体は分離物に及ぶが、第三者に対する対抗力は喪失する。 選択肢略 この問題がよくわからないのです。 まず【考え方】が言っている意味がよくわかりません。 「抵当権の公示の衣に包まれている」とか、「抵当権の効力自体は分離物に及ぶが、第三者に対する対抗力は喪失する」とか、初学者にもわかりやすく解説をお願いできますでしょうか。
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>まず【考え方】が言っている意味がよくわかりません。 >「抵当権の公示の衣に包まれている」とか、「抵当権の効力自体は分離物に及ぶが、第三者に対する対抗力は喪失する」とか、初学者にもわかりやすく解説をお願いできますでしょうか。 山林に抵当権が設定された場合、その土地に生育している樹木にも、土地の付加一体物として抵当権の効力は及びます(370条本文)。 では、その樹木が伐採されて分離物となり(伐木)、第三者に売却された場合にも、①この分離物である伐木に抵当権の効力が及んでいるのか、②及ぶとして第三者に抵当権の効力が及んでいることを主張(対抗)できるか、が問題となります。 この「考え方」は、①については抵当権の効力が及んでいることを前提として、②については、「抵当不動産と同じ場所(と評価できる場所)」に分離物があれば、第三者に抵当権の効力を主張できるものの、その場所から外へ出てしまえば、もはや分離物に抵当権の効力が及んでいると第三者に主張できなくなる、という立場です。原則として、抵当不動産上から外へ出たかどうかが、抵当権者の権利主張の可否が左右されることになります。 そして、この考え方は、②の根拠として「抵当不動産と場所的一体性を保っている限り、抵当権の公示の衣に包まれている」という言い方をします。比ゆ的な表現なので、イメージがわきにくいかもしれません。 公示というのは、例えれば、物に権利者の名前を書くようなものです。つまり、抵当不動産上に、「この土地にはAが抵当権を設定しています」と書いた、巨大な風呂敷を広げているようなもので、その氏名が書かれた風呂敷上に伐木が置かれていれば、「この伐木にもAの抵当権が及んでいる」と認識できます。 しかし、その風呂敷から外へ出て行ってしまい別の場所に置かれていれば、ただの伐木にすぎません。このような場所で抵当権の効力を対抗されては、第三者の取引の安全が害されます。なので、「公示の衣(氏名を書いた風呂敷の外)」に出た以上、抵当権の効力は対抗できないということになります。
なるほど:2
山に抵当権を設定したら、そこに生えている木にも抵当権が及ぶというのはわかりますか? 土地に何らかの権利があるならば、原則的にそこから生えてくるものに対してもその権利が及ぶわけです。 有名な話ですが、隣の家の木の枝が境界を超えて自分の土地に張り出してきても勝手に切ったら罪になりますが、隣の家の木の根っ子が境界を超えて自分の土地に出てきたら、これは勝手に切ってもいいんです。なぜなら土地が自分のものである以上、そこから生えてきたものは自分のものだから。 「原則的に」と言ったのは、木の場合、その木の持ち主がその旨を登記することができるわけです。こうなったら土地がどうなろうとその木の持ち主はその木については所有権を主張できます。ですからカッコ書きがあるわけですね。 さて、抵当権が設定された山の持ち主が、そういうことを知らずに自分の山の木だから自分のものだと言って売ってしまったとします。 この時、まだ切り倒されていない状態だったとしたらもちろんのこと、切り倒してしまっても搬出されない限り、大体その山の木を切ってそこに置いてあるんだなということはわかりますよね。 こういう時には山と一体物としてあるということが大体わかりますので、抵当権はその木にも及んでいるんだなということがだいたいわかるわけです。「抵当権が及んでいるということがだいたいわかる」というのを「公示の衣に包まれている」という表現をするのです。慣用句みたいなもんです。 では、この木が持ち出されたらどうかということですが、仮に持ち主がトラックに積んで、山の外に持ち出した。この段階では、まだ「その木にも私の抵当権が及びますよ」と主張できますが、買主がそこにいて、「いやこれは私が買ったもんです」と主張されたら、「そうじゃない私のだ」とは言えなくなる、ということです。
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