高圧ガス製造保安責任者の丙種化学の試験の区分について質問があります。 高圧ガス製造保安責任者の丙種化学の試験には液…

Question

高圧ガス製造保安責任者の丙種化学の試験の区分について質問があります。

高圧ガス製造保安責任者の丙種化学の試験には液石と特別化学の2種類があります。

今年高圧ガス販売主任者2種を受けて、翌年には丙種化学を受けたいと思っています。

実は今はLPガス業界に興味があるのですが、他の工業系のガスや都市ガスなどにも興味があり非常に迷っています…

なのでLPガスだけでなくより多様なガスのことを知るために特別化学を受けたいと思っています。

もし仮に主にLPガスを扱う会社に就職した場合には、どうして液石じゃなくて特別化学をとったんだ、みたいなことになるのでしょうか?

丙種化学の区分がどうしてもわかりにくいので教えて頂けるととても嬉しいです

Answer 1

お疲れ様です。ミスター高圧ガスと申します。

高圧ガス製造保安責任者免状は、いろいろな変遷があって現在に至っていますが、ご質問の通り非常にわかりにくい制度になっています。

もともとは「製造保安責任者免状」ではなく「作業主任者免状」といいまして、今の冷凍保安責任者が冷凍能力に応じて１冷～３冷の免状を持っているように、過去は作業主任者（今の保安係員に相当するのでしょうか？）のみ資格を要求されていました。

甲種化学、甲種機械、乙種化学、乙種機械のように機械と化学については、現在では意味がなく２つに分かれていますが、元々は、圧縮機を使用するような場合は「機械」の免状、空気液化分離装置のようなものは「化学」の免状と分かれていました。それらのうち、能力の高いモノは「甲種」それ以下のモノは「乙種」というように。ですから、昔は事業所に「機械」系の設備と「化学」系の設備があれば、両方必要だったんです。

当時は丙種はなかったかというとあったんですけど、丙種化学作業主任者免状といいまして、これは現在の丙種化学（液石）に相当するモノです。ＬＰのプラントは、一般ガスのプラントよりも設備が簡単だったのでしょうか。理由はわかりませんが、当時（昭和４０年代）の丙種＝丙種（液石）だったんです。

となると、一般ガスのプラントを動かそうとすると、免状としては甲種か乙種しかないということになります。当時ですね。
そこで、「ＬＰだけ丙種があって、一般ガスは乙種以上が義務づけられるとなると不公平だ」という声があったんでしょう。高圧ガス製造保安責任者免状と名前を変えてからは、新たに丙種化学（特別）という制度が出来たわけです。

平成９年３月末までは、現在と違い、試験に合格しても実務経験がなければ免状の交付がしてもらえませんでした。
丙種化学（液石）については、「液化石油ガスの製造に係る１年以上の経験」が免状交付の要件だったのです。

丙種化学（特別）はどうかというと、ガスの区分（①可燃性かつ毒性ガス、②可燃性ガス、③毒性ガス、④酸素、➄その他（空気、不活性）だったと思いますが・・・）に応じた１年以上の製造に関する経験があって、初めて免状の交付をする時代でした。そのときに、免状の白いページに「裏書き」といって、上記の①～➄の経験をした区分のスタンプを押してもらっていたんです。最初は①～➄のどれでもいいのです。

その免状の交付を受けた人が保安係員に選任される際に、その製造施設に係るガスの種類に応じた経験がなければ保安係員になれないので、経験を積む度に申請をして裏書きを増やしていったんです。ですから、当時は丙種化学（液石）は、まさしくＬＰガスの製造に係る経験を持った人しか交付されなかった免状だったんです。

ところが平成９年４月以降は、試験合格のみで免状が交付されるようになり、交付の際の実務経験が不要となりました。実務経験については、保安係員などに選任される際に、必要に応じて証明をする制度に変わったため、丙種化学（液石）と丙種化学（特別）の棲み分けをする必要がなくなってしまいました。現在では、一部の例外を除き「丙種化学（液石）に限る。」とか「丙種化学（特別）に限る。」ような表記は法令には見当たらなくなったので、「丙種化学」といえば「丙種化学（液石」も「丙種化学（特別）」のどちらでもいいのです。

ただしこれからの業界の広がり方を見ていると、ＬＰ業界は斜陽に入りつつあるので、どうせ取るのであれば「丙種化学（特別）」の方がウケはいいかと思います。もちろん両方取られても構いません。
ただし、このような法令改正のことをキチンと理解していないＬＰガス屋もあるので、「丙種化学（特別）じゃあ、保安係員に選任出来ないだろう」と言い出す会社もあるかもしれません。そういう法令改正のことも理解していないような会社は、コンプライアンスも危なそうなので受けない方が正解だと思いますけどね。